●右派が総攻撃を仕掛けた安倍政権による沖縄差別問題…警察と公安庁もグル
2016年、熾烈を極めたのが国と対立する沖縄への差別だ。高江で進められている米軍ヘリパッド建設工事で、大阪府警から派遣されていた機動隊員が反対派市民に対し「触るな、土人が」「黙れコラ、シナ人」などと差別発言を行ったのも記憶に新しい。問題は、これがいち機動隊員による沖縄への差別にとどまらないということだ。
本サイトが追及したように、実は、警察組織の中では、こうした沖縄差別、外国人差別は日常化している。実際、警察官専用雑誌「月刊BAN」(教育システム)には、沖縄ヘイトを始め、ネトウヨ丸出しの歴史修正主義者や嫌韓ヘイト本の著者、さらにはヘイト市民団体関係者らが登場。この事実からもわかるように、警察組織内では差別意識を植え付けるような講演や勉強会が日々行われており、その結果として、今回の高江で「土人」「シナ人」発言が出てきたのである。
また、公安組織では公安調査庁が今年の調査報告のなかで、〈中国に有利な世論を沖縄でつくることによって日本国内の分断を図る狙いが潜んでいると見られる〉などとネトウヨなみのデマを飛ばしている。これは“お荷物官庁”である公安庁が予算と人員獲得のために針小棒大の謀略論を展開しているわけだが、それとは別に、第二次安倍政権以降、公安庁はかなり増長し続けているとの情報もある。
安倍政権はこうした警察・公安組織、さらに司法と一体となって沖縄への締め付けを強化。沖縄で反対活動を行う市民や、その模様を取材中の新聞記者らが逮捕される弾圧事件も相次いだ。ところが、本土の政治家やマスコミはこうした事件を大きく扱わないどころか、デマにデマを塗り重ねて差別を強化している。鶴保庸介沖縄担当相や松井一郎大阪府知事が「土人」発言を擁護したのはもちろん、応援団メディアはトンデモ情報を拡散。たとえば“維新の腰巾着”辛坊治郎はテレビで「高江の地元ではヘリパッドを早くつくって欲しい人が圧倒的に多い」という事実無根のデマを吹聴、産経や「週刊新潮」などの保守系メディアは反対派の言動のほうがヒドいと権力関係を無視した言いがかりをつけ、百田尚樹にいたっては「土人を流行語大賞に」などとほざく始末。
いま安倍政権は、警察や司法など権力のすべてを結集し、かつ掌握したメディアをつかって、沖縄を徹底的に追い込んでいる最中だ。沖縄を犠牲にしてきた歴史、そして今も犠牲にし続けている現実を一切かえりみないばかりか、「土人」などと差別して攻撃対象にする、政権の卑劣な沖縄ヘイトを許すわけにはいかない。
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いかがだったろうか。2016年の差別事件簿から、外国人差別、障害者差別、医療弱者と貧困者差別、女性差別、血統差別、そして沖縄差別について振り返った。こうした差別やヘイト発言が、たまたま異常な人間が発したものでなく、背景に日本の政治や社会のグロテスクなバックラッシュの動きとが、密接につながっていることがわかってもらえたはずだ。
本サイトはこうした動きを食い止めるために、今年も、さまざまな事件の裏に潜む差別思想を暴き出し、徹底的に批判していくつもりだ。
(編集部)
最終更新:2017.11.15 05:47