左・舛添要一の公式サイトより/右・石原慎太郎公式サイトより
政治資金を私的流用していたとして批判を集めている、東京都の舛添要一知事の問題。釈明の仕方を含め、多くの人が舛添都知事の対応に疑問の声を投げかけているなか、ある人物から失笑を禁じ得ない発言が飛び出した。
その主は、現在、東京都連会長を務め、ポスト舛添として都知事選出馬説も流れている石原伸晃経済再生担当大臣。石原伸晃は、今月24日の会見で、記者から舛添都知事が趣味である美術館視察を繰り返していた旨を聞くと、わざとらしく驚きながら、明らかにそれは問題だ、という口調でこう発言した。
「美術館に行ってるんですか? いや、それ、ちょっと初めて聞きました。都議会に聞かないと」
舛添都知事は、今年4月までの一年間の間に都内の美術館や博物館への視察を39回も行っている。海外を除く同期間の視察は54回で、美術分野への視察が不自然なまでに多い。一方、保育所や介護施設への視察は0回と、本気で福祉施策について考えていたのかも疑問が残る。
舛添都知事は、政治資金を使い美術品や絵画を購入していた事実も明るみになっており、都知事としての仕事よりも、趣味の美術館巡りに精を出していたこの行動は批判されてしかるべきものだ。
しかし、それを石原伸晃が驚き、批判するというのは、笑止千万だろう。なぜなら、彼の父親がやったことは、美術館巡りどころの話ではないからだ。石原慎太郎氏は都知事時代、自分の息子、つまり伸晃氏の弟のために美術事業を立ち上げ、年間5億円近い税金をつぎ込んでいた。
それは、石原都知事が2001年にスタートさせた「トーキョーワンダーサイト(TWS)」というプロジェクトをめぐって起きた。
これは若手芸術家の支援事業という触れ込みで始まったものだが、慎太郎元都知事はなぜか、設立当初から、まったく無名の美術家である四男の延啓氏を外部役員として抜擢する。また、館長には慎太郎元都知事の知人で、延啓氏の留学時代の遊び仲間でもあった建築家の今村有策氏を起用。副館長には、今村氏の夫人で建築家の家村佳代子氏を抜擢した。