ところが、自民党はこの民進党の提案をはねつけ、どうしてもTPP審議を行うと強硬に主張。開催を押し切ってしまったという。
「なぜ、この状況で委員会を開かねばならなかったのか」
緒方議員ら民進党サイドは委員会の質問でまず、安倍首相に対して、このことをぶつけていたが、安倍首相は「委員会(の開催)は議会に任せている」「どのような案件について議論していくかは国会が決めること」と他人事のように語るのみだった。
しかし、この答弁は大ウソだ。委員会開催は国会が決めたことではなく、安倍首相が決めたことだった。自民党は一旦、民進党からの委員会延期の申し入れを受け入れる姿勢を示していたが、安倍首相がそれをひっくり返し、審議に入ると言い張ったため、自民党も委員会を開く方針に転換したのだという。
実際、国対委員長会談で、自民党の佐藤勉委員長が「安倍首相からTPPの議論を一歩でも先に進めたいと“強い意向”があった」と明言している。
ようするに、安倍首相は「救命救助活動に全力を挙げたい」「住環境の改善に努力する」と言っておきながら、野党や自民党からの「いまは災害対策を」という訴えには耳も貸さず、TPP審議を優先させたのだ。
安倍首相がここまでTPP審議にこだわるのは、参院選でTPPが争点になることを避けるべく、一刻も早く国会での承認を取り付けたいがためだろう。あるいは、まさかとは思うが、この期に及んでも、まだ衆院選とのダブル選挙をあきらめていないのかもしれない。
いずれにしても、この言動不一致にもあきらかなように、安倍首相は政権の利害しか考えていないことは間違いない。
事実、今日の国会ではほかにも、被災地の現状を顧みない姿勢が次々と明らかになった。
そのひとつが、本サイトも指摘していた激甚災害指定の遅れだ。この問題について緒方議員から指摘され、野党側から野次が飛ぶと、安倍首相は都合が悪くなったときのパターンである逆ギレ状態になって、「野次はやめてくださいよ!」と怒鳴り始めた。