森喜朗公式サイトより
今月8日、エンブレムの最終候補がようやく発表された東京五輪。しかし、当初3000億円といわれた運営費が5000億円にまで膨れる可能性が濃厚になったり、国立競技場の聖火台の設置場所がないことが発覚するなど、まだまだ問題は山積している。そんな迷走を続ける東京五輪をめぐり、かつて本サイトが指摘した事態が現実に起きてしまった。
それは、大会組織委員会会長の森喜朗氏による新聞社への圧力事件だ。
東京五輪の運営費を賄うため、組織委は企業とのスポンサー契約を進めているのだが、その中に、新聞社が含まれている。スポンサー契約はA、B-1、B-2、Cの4ランクに分けられ、全国紙には最上位はAランク15億円、ブロック紙にはB-1ランク5億円の協賛金が提示された。
今年1月22日 には、朝日新聞、日本経済新聞、毎日新聞、読売新聞東京本社の4社が契約を締結し、現在は、中日新聞、北海道新聞、西日本新聞などのブロック紙との交渉が進められている。
ところが、その交渉の中で、中日新聞社に対して組織委会長である森氏が「東京新聞を外せ」と“圧力”をかけてきたというのだ。
中日新聞社は東海地方で発行されている中日新聞に加え、東京本社では発行する東京新聞を発行している。そして、東京新聞は安倍政権への批判や原発問題などを果敢に展開することで知られ、全国紙とは一線を画したスタンスのメディアでもある。
「ようするに、中日新聞にスポンサーになってもらうが、東京新聞には、スポンサーとしての取材便宜を一切与えるな、ということだったようです。東京新聞はこの間、国立競技場などの五輪がらみの不祥事を徹底追及してきており、森会長のことも厳しく批判していた。その意趣返しということでしょう」(新聞関係者)
この問題は「週刊新潮」(新潮社)4月14日号も報じている。同誌によると、森氏はこんな横やりを入れてきたという。
「今年2月、そろそろ正式に契約を結ぶという段になって、森さんは電通を通じてこんなことを言ってきたのです。“中日新聞社のうち東京新聞は国立競技場問題などを批判的に書いてケシカラン。組織委としては、五輪に批判的な東京新聞は外して、中日新聞とだけ契約したい”と」(「週刊新潮」より中日新聞関係者のコメント)