宮内庁「天皇陛下お誕生日に際し(平成26年)」より
今日12月23日、天皇が82歳の誕生日を迎えるが、例年より一層、注目を集めているのが、恒例の記者会見で天皇がどんな言葉を語るか、だ。
「天皇と皇后両陛下は、安倍政権の改憲、右傾化の動きに相当な危機感をもたれている」
この数年、宮内庁記者や皇室関係者の間ではこうした見方が定説になってきた。
実際、2013年の天皇誕生日では、日本国憲法を「平和と民主主義を守るべき、大切なもの」と最大限に評価した上で、わざわざ「知日派の米国人の協力」に言及し、「米国による押しつけ憲法」という安倍首相ら右派の主張を牽制するような発言をした。
それに加えて、今年は戦後70周年、そして戦後の平和主義を大転換する安保法制が強行された年でもある。
天皇がこれまでよりもさらに踏み込んだ、憲法を軽視する安倍政治への警鐘を鳴らすのではないか、そんな予測が高まっているのだ。
「それを恐れてか、官邸周辺からはしきりに、天皇の言動に最近、不安があるかのような情報が流れています。『週刊文春』なども書いていましたが、あれもおそらく官邸発。実際は少し耳が遠くなられた程度なのですが、そういう情報を流しておくことで、何か安倍政権に批判的なことを言われた場合に備え、予防線をはっているんでしょう」(宮内庁担当記者)
もっとも、逆の見方もある。昨年あたりから、官邸が宮内庁にかなりプレッシャーをかけており、天皇、皇后が思いを素直に口にするのが難しくなっているというのだ。
実際、2014年には、安倍政権下で教育再生実行会議委員をつとめる安倍首相のブレーン中のブレーン、八木秀次が天皇・皇后の発言を「安倍政権批判」だと攻撃するなど、右派がさまざまなプレッシャーをかけた。その結果か、誕生日の会見も前年よりはトーンダウンしたものになった。