政権に萎縮し、報道だけでなく笑いのネタとしてでさえ取り上げることをしない空気のなかで、安倍首相をネタの俎上に載せ、からかってみせた爆笑問題。──どうせならもっと盛大に国会の異常をネタにしてほしかったとも思わなくもないが、いまのテレビ、そして松本人志が象徴的なように権力に迎合する芸人たちが大勢を占めるなかでは、爆笑問題がこのネタをテレビで披露するのは重要なことだったのだと思う。
逆にいえば、大オチで噛んでしまうという失敗をしたネタでさえ評価に値してしまうという、それくらい笑いの世界の風刺は貧しい状況にあると言ってもいい。実際、今回、太田が「NHKで政治ネタをやる」と宣言したあと、田中自身も「(政治ネタをやると言ったものの)俺ら、出なかったらすごいよね(笑)」と言い、出演見合わせのような事態になる可能性を示唆している。
本サイトは太田の“変節”を苦々しく取り上げてきた立場だが、政権批判を行っただけで「偏っている!」などと声があがる不健全な状態を打開するためにも、ここは爆笑問題にがんばってほしいとエールを送っておきたい。
(大方 草)
最終更新:2015.10.25 11:15