そんな状況のなかで、“政治の話をするのはロクなことがない”と思っている岸田が、あえて言葉を口にすることには大きな意味がある。間違っていることにははっきり「NO」と拒否する。そういう流れが生成されることが、あるべき民主主義のかたちだからだ。
岸田は、前述した15日のツイートで、〈日本はもう、アメリカ型の発展はやめた方がいい。向いてへん〉とも述べている。ここで思い出されるのは、くるりの「さよならアメリカ」(アルバム『言葉にならない、笑顔をみせてくれよ』収録)という曲だ。《ろくでなしアメリカの 手のひらで泳ぎ疲れたよ》という歌い出しからはじまるこの歌は、《何もない焼け野原》《俺らの夜明けは まだかな》と、戦後アメリカから独立できていない日本を歌っているようにも思える。
この楽曲について、岸田は『佐野元春のザ・ソングライターズ』(NHK教育)に出演した際、こう話していた。
「たぶん『たちあがれ日本』の人たちより、立ち上がれ日本、って、ぼく思ってる。ちょっと危険発言なんですけど。へんな政治的な意味じゃなくて」
立ち上がれ、もうだれも殺したり殺されたりしない国にするために。岸田の思いに、そう呼応する言葉が生まれていくことを信じたい。
(水井多賀子)
最終更新:2015.07.25 07:28