小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

menu

京都連続不審死事件と酷似!話題の小説『後妻業』はなぜ事件を予見できたか

gosaigyou_01_141122.jpg
『後妻業』(文藝春秋)

 京都府向日市の連続不審死事件が大きな話題になっている。夫の殺害容疑で逮捕された67歳の筧千佐子容疑者の周辺には、多数の不審死男性の存在が浮かんでおり、マスコミ報道も加熱する一方だ。

 そんな中、この事件をまるで“予言”したかのような小説が注目を浴びている。それが今年8月に刊行された『後妻業』(文藝春秋/黒川博行)だ。

 筆者の黒川は今年、『破門』(角川書店)で第151回直木賞に輝いた作家歴30年という大阪在住のベテラン作家だが、たしかに本書を読むと、今回の連続不審死事件と非常に似通っている。

 実際の不審死事件は、千佐子容疑者が京都や大阪の結婚相談所を介して男性と知り合い、結婚、または交際をしたが、短期間の間に相手の男性6人(またはそれ以上)が次々と死亡したとされる。その結果、千佐子容疑者が得た遺産などは8億円に上るといわれている。

 一方、『後妻業』の舞台も大阪の結婚相談所だ。小説に登場する武内小夜子は、69歳という高齢女性。結婚相談所で91歳の中瀬耕造と知り合い、2年前から内縁関係にあった。その耕造が脳梗塞で倒れた。耕造が危篤状態なのに、葬式の費用を耕造の2人の娘たちに請求し、金庫を勝手に漁り預金をおろす小夜子。それからしばらくして耕造は亡くなった。しかも、この死は小夜子の犯行だった。

「(小夜子は)昨日の夜、注射器いっぱいの空気を十数回、耕造の体内に入れたという」

 だが、この一件は明るみにでることなく耕造は病死とされた。そして耕造の死後、小夜子は耕造さんの遺産は、私が相続します」と告げる。娘の目の前に差し出されたのは、公正証書だ。

「小夜子はなにもかも計算ずくで耕造に近付き、公正証書遺言状を作成したのだ」

 しかし、これは小夜子ひとりの“計画”ではなかった。彼女のバックには、結婚相談所の柏木という男の存在があった。

「柏木は金井の相談所で会員から金を吸いあげるノウハウを学んだ。ターゲットは女より男。それも妻に先立たれた老人だった」

 しかし、耕造の娘たちが依頼した弁護士や探偵によって小夜子の過去が暴かれていく。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

カテゴリ別に読む読みで探す

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。

プッシュ通知を受け取る 通知を有効にする 通知を停止する