その後、石破首相が辞任に追い込まれ、高市首相が誕生すると、防災庁構想も高市政権に引き継がれ、2026年7月に防災庁設置法が成立した。しかし、高市首相のやる気のなさは明らかで、防災庁構想と同時に石破首相が設置した防災立国推進閣僚会議も、高市政権になると、開かれたのは1回のみ。石破政権時代に政府内で活発に行われていたスフィア基準並みに避難所を整備するという議論も、ほとんど聞かなくなった。石破前首相が計画していた将来的な防災省への格上げも完全にどこかに行ってしまった。
当然だろう。高市首相は安倍元首相同様、安全保障、防衛力増強には異常な執着を見せる一方で、災害支援にまったく関心がない。総裁選で災害対策が議論にのぼっても、被災者のケアについてはほとんど触れず、経済復興のことばかり語ってきた。そして、前述してきたように防災庁の設置にも反対してきた。しかも、この姿勢は、今回、自身の政権下で熊本地震が起きても変わることはないだろう。
先日の被災地視察では、「やれることはすべてやります」と宣言して、自分のやってる感をアピールする映像を拡散させた高市首相だが、これらはすべてプロパガンダにすぎず、実際は被災者に向き合おう気などさらさらないことは明らかだった。
災害に冷淡だったあの安倍首相でさえ、2016年の熊本地震の際、朝6時に出発し、3カ所の避難所を回ったというのに、高市首相が訪問したのは1カ所だけ。それも、もっとも環境の整った避難所のひとつを選んで、避難者との意見交換で被災者から「至れり尽くせり」と言ってもらうという、ヤラセに近いシロモノでしかなかった。しかも、その避難所ですら、高市首相が実際に避難者が生活する教室に入ったのは、ほんの数分。高知新聞の取材に、避難者の男性が「私のいる教室に首相が来て何かあいさつしていたが、耳が遠くて聞こえんかった。10秒もいなかったと思う。自民党の宣伝でしょ」と述べるほどだった。
こんな政治家が、災害支援を強化し、避難所の劣悪な環境を改善してくれるとはとても考えられないだろう。そして、これは高市首相一人の問題ではない。私たちが大災害に遭っても必要な保護や人間らしい避難生活を送れるようになるには、やはり、権力者や大企業にしか向いていない自民党という政党を政権の座から引き摺り下ろすしかないのではないか。
(編集部)
最終更新:2026.08.09 08:41