しかも、自民党政権はただ不作為だっただけではない。体育館へのエアコン設置を阻むような動きさえ見せていた。
実は、公立学校の空調設備については、2000年代はじめから、国会や地方議会などで共産党を中心に補助強化を求める質問や要望が繰り返されていた。しかし、政府や自民党はそれを無視し続け、2018年までは補助金を3分の1に抑え続けた。
普通教室については、猛暑で熱中症による児童の死亡事故が起き大きな問題となった2018年度補正予算においてようやく、熱中症対策の臨時措置として822億円が計上され、地方負担分の大半を地方債(緊急防災・減災事業債など)と地方交付税の組み合わせでまかなえる措置がとられたことで、各自治体が一斉に教室のエアコン設置に踏み切るようにななった。2020年3月には設置率9割、現在は全国のほぼ全ての教室にエアコンが設置されるにいたっている。
国がその気になって予算や措置を講じれば投じれば、全国の学校に一気にエアコンを普及させるのが可能という証明ともいえるが、しかし、これはあくまで普通教室だけで、2018年以降も体育館の対策強化は放置されたままだった。
共産党や公明党などは、大規模災害での避難所になる体育館に対してもエアコン設置を進めるよう求めていたが、災害対策に関心のない当時の安倍政権は一向に動こうとしなかった。
岸田政権になってから「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、2023年度予算で、避難所に指定されている体育館への空調設置について、補助率が2分の1に引き上げられたが、2025年度までに工事が完了する事業に限るという非常に限定的な措置にすぎなかった。しかも、前述のように断熱工事をセットとすることが補助金拠出の要件となっていたため、なかなか設置は進まなかった。
その後、大規模災害対策を政策の柱に据えた石破政権が2024年に、体育館へのエアコン設置のため、新たな「空調設備整備臨時特例交付金(文科省)」などを新設。2分の1の補助に加え、光熱費に対する交付税措置、さらに断熱工事のセット要件も緩和されたことで、地方の負担が大幅に軽減。ようやく設置が少しずつ進み始めたというのが、現状なのである。
実際、「しんぶん赤旗」によると、今回の地震で、震度6強以上だった宇城市は今年度中に全小中学校の体育館にエアコンを完備する予定、宇土市は4割にクーラーが設置される予定、熊本市は今年度にエアコンの設置が予算化し来年から工事が始まる予定だったというが、少なくとも地震発生時点では、震度6強以上だった6自治体のうち、4自治体で避難所指定の学校体育館のクーラー設置がゼロ。
つまり、2018〜2023年の補助金出し渋りによって、今回の地震には間に合わなかったのである。
だとすれば、地震が発生してから、避難所に慌ててクーラーを送っているという泥縄的な現状は、明らかに歴代の自民党政権、特に安倍政権下での教育福祉政策軽視、災害政策軽視が原因というしかない。