その上、寺本市議が8日におこなった会見によると、爆発下限界を超えるメタンガスを検知した際、寺本市議はまず、現地の万博スタッフにこの事実を責任者に伝えるよう要請したというが、スタッフは「責任者に伝えはした」と言うばかりで、避難誘導もせず。そこで、寺本市議は「消防が詰めている」という情報を得ていた万博防災センターに駆け込もうとしたが、今度はセンターの入口付近で警備員に「これ以上、先に進むためには許可証が必要です」と言われて阻まれてしまった。そのため、今度は消防局の指令センターに電話し、爆発下限界を超えるメタンガスを検知したことを伝えたうえで防災センターに通してほしいと交渉。しかし、それでも警備員の対応は変わらなかったため、119番通報をおこなったのだという。
しかも、寺本市議によると、大阪市消防局に問い合わせたところ、通常であればメタンを検知したという通報が入った場合、消防車など3台が緊急出動するという回答したというが、6日の通報時は緊急出動ではなく業務出動でサイレンも鳴らさずに現場に到着したという。
「きちんと対応していく」の一点張りの吉村知事に、根拠もなく「安全」だと言い張る万博協会、さらには緊急事態が発生したというのにまともな対応をとれなかったスタッフ、万博防災センター、消防局……。つまり、運営側に危機管理能力が微塵もない状態で、万博が開幕しようとしているのだ。
そもそも、吉村知事といえば、昨年の爆発事故後も「パビリオンが立っているところに埋まっているのは土、土砂ですので、そういったガスが出ない」などと発言していたが、その後、パビリオンエリアでもメタンガスを検出。嘘八百で安心させようとしていたことが露呈した。吉村知事の言うことを信用しろというほうがおかしいのだ。
昨年12月の調査によって、夢洲1区に設置された83本のガス抜き管からは1日に3トンものメタンガスが排出されていることが判明しているように、万博会場のある夢洲は安全にイベントが開催できるような場所ではない。にもかかわらず、万博には来場者数を水増しするべく子どもたちを動員。今回、爆発下限界を超えるメタンガスを検出した西ゲート近くにも児童・生徒の団体休憩所が設けられている。また、万博会場内は全面禁煙だが、会場内へのライター持ち込みも多量でなければ禁止されていない。もし、危険な場所にタバコが投げ捨てられたり、ピットで火花が発生した場合、いったいどんなことが起こるのか。いや、危機管理がザル状態の万博協会が把握できていない、もっと危険な場所が会場内に存在する可能性だってある。
吉村知事や万博協会の無責任な「安心・安全」という言葉を、けっして鵜呑みにしてはいけない。
(編集部)
最終更新:2025.04.10 08:40