いや、実際のところ、自民党が統一教会との関係を本当に断ち切ったのか、疑問はつきない。
たとえば、「FRIDAY」(講談社)2022年9月30日・10月7日号によると、安倍銃撃事件後の昨年8月19日に統一教会本部が全国の教団支部現場責任者クラスに向けて実施した「特別ネット会議」において、天宙平和連合(UPF)の魚谷俊輔事務総長が「政治家が家庭連合から距離を置いたり、離れていくことを心配している。(教団の賛同会員である)井上(義行)議員は今どのような状態なのでしょうか」という信者からの質問に対し、このように答えたという。
「井上議員の内心はまったく変わっていませんし、我々の応援によって当選したことは感謝していらっしゃいます。しかし今、自民党のほうからとにかく静かにして欲しいとのことでして、表立って発言はできない状態です。これは深く繋がっている他の国会議員も同様であって、心は離れていなくても、今、マスコミがヒステリー状態になっているので身を屈めてやり過ごすしかない、というのが現状です」
無論、これは教団支部の責任者たちの不安を取り除くために発しただけのものかもしれない。しかし、統一教会票が選挙での当選を左右するような議員が存在する事実を考えれば、ありえない話ではまったくないだろう。
さらに、鈴木エイト氏は近著『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』(小学館)において、〈現在も自民党国会議員の秘書に統一教会関係者が登用されるなど、党との組織的関係が続いているという疑惑もある〉と指摘。〈教団は支援した政治家に対し、いざというときに守ってもらうことも期待しているはずだ。政界工作を通じて弱みを握っている可能性もある〉(朝日新聞7日付)とも述べている。
岸田政権が、安倍元首相と統一教会の関係はおろか、所属議員との関係についても徹底検証をしなかったために、関係が本当に清算されたのか否かも不透明になってしまった。安倍元首相の銃撃から1年という節目を機に、この状況を改めるためにも、メディアをはじめとする再追及の動きをつくり出す必要がある。
(編集部)
最終更新:2023.07.08 12:01