しかし、前述したように、ジャニーズ事務所への忖度報道をおこなっているのはテレ朝だけにかぎらない。つまり、日本を代表する芸能プロダクション創設者による未成年者への性加害告発という重大問題を前にしても、テレ朝と同じようにジャニーズとの利権構造でがんじがらめになっているテレビ局ほど消極的な報道に終始しているというわけだ。
いや、それはテレビ局だけの問題ではない。テレビより酷いのは全国紙系列のスポーツ紙で、ジュリー社長が公式見解を出すまでは紙面において全紙が沈黙。いまだにジャニーズに対する批判的視点がほぼ皆無の記事を出している。これもひとえに「J担」と呼ばれる記者がジャニーズに接待漬けにされ、スキャンダル報道を封じてきた悪しき慣習にいまも従っているためだ。
ジャニー氏の性加害は、言うでもなく大手メディアがその疑惑を把握しながら無視を決め込み、高裁で事実認定され最高裁で確定しても国会で取り上げられても報じることなく、隠蔽に加担したことで、これまで「なかったこと」にされてきた問題である。外圧と勇気ある告発によって、ようやくそのパンドラの箱が開いたというのに、大手メディアは相変わらずこの体たらく……。徹底した真相究明とジャニーズ事務所の責任追及が果たされるとは、とても考えられないだろう。
(編集部)
最終更新:2023.05.18 07:56