しかし、菅前首相本人はこの“菅ブーム”に調子づき、どうやら「再登板」に向けてアクセルを踏みつつあるらしい。しかも、とんでもない方向に向かって暴走しようとしている。
というのも、国葬がおこなわれたあと、菅前首相は、統一教会とズブズブで集中砲火を浴びた自民党随一の“壺政治家”萩生田光一政調会長とふたりきりで会談していたからだ。
萩生田氏のブログによると〈この夜はお互いの日程の合間をぬって菅前総理と二人で安倍さんを偲び献杯しました〉というが、最近、永田町では、岸田政権の内閣の支持率がダダ下がりしているなか、“首相返り咲き”を狙う菅氏が、萩生田氏を安倍氏の後継者と見立てて接近しているというという話が、しきりに流れていた。そこへ、このあからさまな会談である。
菅前首相は、萩生田政調会長と統一教会とのズブズブの関係をまったく問題にしていないことになる。
しかし、それも当然なのかもしれない。メディアでは大きく報じられていないが、菅前首相もまた、統一教会との関係が指摘されているからだ。
ジャーナリストの鈴木エイト氏も、発売されたばかりの著書『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)のなかで、統一教会と安倍政権の「共存共栄関係におけるバイプレーヤー」は菅氏であると指摘している。
実際、2013年の参院選において統一教会の全面支援を受けていたと指摘されている自民党の北村経夫・参院議員の問題では、北村議員の元選挙スタッフが「当時の菅官房長官が、北村候補に(統一教会の関連団体である世界平和連合を)選挙支援として差配した、支援団体としてつけた」と証言(菅事務所は事実を否定)。
また、9月8日に公表された自民党の「点検」結果でも、菅氏が牛耳る神奈川の自民党議員9人が、統一教会と関係があったことが判明した。しかも、菅氏の子飼いである山本朋広衆院議員、山際大志郎経済再生担当相はとびきり濃厚な関係を持っていたことがわかっている。
にもかかわらず、菅前首相と統一教会の関係が大きく追及されないのは、菅前首相がメディアに対して睨みを利かせているからだと言われている。
そういう意味では、萩生田“壺”政調会長も同じだ。一時は集中砲火を浴びていた萩生田氏だが、本サイトの記事でも指摘したように、政治部を通じて各社に圧力をかけるようになったと言われ始めた頃から、マスコミは萩生田氏の問題についてほとんど報じなくなった。それどころか、2日放送の『日曜討論』(NHK)にまるで無関係の人間であるかのような顔をして登場し、所轄の大臣でもないのに「統一教会に対する解散命令は難しい」などと発言しても批判されないでいる。
このまま菅前首相と萩生田政調会長が手を組めば、圧力をかけまくって統一教会問題そのものが報道できなくなる可能性すらある。
弔辞ひとつで菅前首相を再評価しているようでは、この国はあっさり「ポンコツと壺」に乗っ取られかねない。そのことをメディアは肝に銘じるべきだろう。
(編集部)
最終更新:2022.10.04 05:11