無論、「文通費問題」に話題がおよんでも、吉村知事が過去に「月はじめの1日に衆院議員を辞任、満額100万円を受け取っていた」問題は完全にスルー。大阪万博の話題では吉田が「万博なんか楽しみでしかない」と語った。
だが、この番組のハイライトは、2度も住民投票で否決された「都構想」の話題になった場面だろう。東野は「不思議なもんで、二重行政が問題だから大阪を良くしようと都構想をがんばった結果、二重行政なくなったけど、『このままでええやん』っていう」などと発言。吉村・松井体制を支持する民意によって都構想は否決されてしまったとばかりに語ったのである。
こうしたヨイショに気を良くしたのか、吉村知事は選挙によって知事と市長は「すぐにねじれる」と言い、こんなことを宣言したのだ。
「そうなったときは、これは都構想です」
「僕が維新の代表じゃなくなる日はおそらく来ますけど、大阪維新の会は都構想をこれからも掲げ続けます。最後まで」
言っておくが、吉村知事は2020年の「都構想」住民投票で否決の結果になった際、会見で「反対派の方の大阪市を残すべきだという熱量が、僕らより強かった。僕たちが掲げてきた『大阪都構想』はやはり間違っていたんだろうと思います」とはっきり語っていたのだ。その「間違っていた」と認めたはずの「都構想」を、知事と市長が「ねじれ」たときには必要だ、今後も大阪維新の会として掲げていく、と述べたのである。
しかも、このツッコミどころしかない発言に対して、吉田は「ねじれたときに我々が気づくことっていうのはたくさん出てくる」などとコメント。──こんな「維新の特番」以外の何ものでもない番組が、元旦の真っ昼間から公共の電波で垂れ流されたのだ。
本サイトでも伝えたように、昨年末に大阪府は読売新聞と「包括連携協定」を結び、読売新聞に対して「権力監視の役割が果たせるのか」「メディアの役割を放棄した自殺行為だ」という批判が巻き起こっている。そして、本サイトでは「読売が吉村知事のPRの場となるのではないか」「今後、連携協定を結ぼうとする他社が出てくることも十分考えられ、そうなれば、まともな報道はなくなって大本営発表に埋め尽くされていくだろう」と指摘した(既報参照)。だが、もはや連携協定など結ばずとも、在阪テレビ局はメディアの役割などとっくに捨てて、進んでこのような「吉村礼賛」番組を放送しているのだ。
メディアが「維新府政の犬」に成り下がり、吉村知事を持ち上げつづけるかぎり、大阪のコロナ対応の問題点が改善されることはないだろう。
(編集部)
最終更新:2022.03.13 02:44