2016年に訪日したプーチン大統領と安倍首相(当時)(官邸ホームページより)
この男は、まだ「火事場泥棒」発言を続けるつもりらしい。安倍晋三元首相がロシアのウクライナ侵略に乗じて、今度は憲法9条攻撃を行った。
3日、自民党安倍派の会合で、共産党の志位和夫委員長が〈プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条〉とツイッターに投稿したことをあげつらって、「空想の世界だ」「思考停止」などと批判したのである。
しかも、安倍はこのとき、性懲りも無く、またぞろ非核三原則の見直しや核シェアリングも主張したらしい。
まったく火事場泥棒にも程がある、と言うしかない。そもそも、今回、志位委員長は、右派連中がウクライナ問題にかこつけて9条改憲を煽るなか、憲法9条があれば、日本でプーチンのような好戦的な政治家がトップに座っても(つまり、安倍のような男が再び総理になっても、ということだ)日本はロシアのように他国に侵略する国家にはならない、と極めて真っ当な指摘をしたにすぎない。安倍は、それを無理やり捻じ曲げて解釈して「空想」などと決めつけたのである。
おそらく、安倍は維新の松井一郎代表やその他の極右言論人、ネトウヨと同様、「憲法9条では国を守れないことが、ロシアのウクライナ侵攻ではっきりした」などと言うために、志位委員長の発言を利用したのだろうが、この論理自体が頭の悪い話のすり替えでしかない。
ウクライナに憲法9条のような条文があって、ロシアから侵略されたというなら話はわかるが、当然ながらウクライナには9条はない。軍事についても絶対的な軍事費には差があるが、GDP比で言えば、ロシアが世界10位に対し、ウクライナは世界11位と、おろそかにしていたわけではない。
むしろ、今回の事態ではっきりしたのはむしろ、それなりの軍事力を持っていても、狂った独裁者が率いる国家による侵略を抑止できるわけではないという現実だろう。
また、連中は9条のせいで侵略されっぱなしになるというようなデマをふりまいているが、日本国憲法9条の現行の解釈でも自衛権を認められている。今回のウクライナ侵攻のようながあれば、もちろん侵略に対して、武力で対抗できる。
ようするに、憲法9条とウクライナがロシアから侵略を受けたこととは何の関係もないのだ。それを憲法9条さえなければ、他国から侵略を受けなくなるなどというのは、それこそ「思考停止」で「空想の世界」に浸っているのはおまえらのほうだ、という話だろう。