吉村氏が代表を務めていた政党支部「維新の党衆議院大阪府第4選挙区支部」の2015年分の政治資金収支報告書。そのなかの「寄附の内訳」の項目には、「吉村洋文(文書通信交通滞在費)」という記載がズラリと並んでいたのだ。
これは、文通費を不適切流用するために横行している「政治団体への文通費横流し」「セルフ領収証」のやり口そのものではないか。
吉村知事はさんざん「経費と言いながら領収書が要らない」ことを問題にし、維新はその使途ならびに領収書を公開していると胸を張ってきたが、本サイトでも指摘してきたように、維新議員の実態は、文通費を議員が自分宛てで領収書を切って自分の政治団体に寄附するという抜け道が横行していた。これは、文通費の使い道を明らかにするどころか、公金を政治資金に化けさせ、さらには何に使ったのかがわからない状態にするものだ。
この維新所属の国会議員による文通費の使途に対し、岩井奉信・日本大学教授は「税金で政治資金を賄っていることになり、ふさわしくない使われ方だ」と指摘(朝日新聞2017年12月27日付)。また、上脇博之・神戸学院大学教授も「文通費を政党支部や資金管理団体に繰り入れて寄付することは、公金の目的外支出になるので違法です」と述べている(日刊ゲンダイ2021年5月7日付)。
だが、吉村氏はまさにその「違法」「不適切なやり方」をしていた。2015年1月の39万8400円を皮切りに、9月まで毎月30万〜65万円もの文通費を寄附として自身の政党支部に横流し。つまり、吉村氏は文通費として受け取った月100万円のうち、ときには半分以上の文通費を自分の政党支部に寄附し、どういう使われ方をしたのかがわからない状態にしていたのだ。
さらに、問題なことがある。1〜9月分については、前述したように政治資金収支報告書に記載があるのだが、在職日数1日で満額100万円を受け取った10月分については記載がないのだ。ちなみに、吉村氏が代表を務める政治団体「吉村洋文後援会」および資金管理団体「友洋会」の2015年分政治資金収支報告も確認したが、これらにも文通費の横流しと思われる寄附の記載はなかった。
たった1日で100万円もの文通費を使い切れるとは、到底思えない。吉村氏はいったいどのように100万円を使ったのか。プライベートに使ったのか、あるいは時期を考えると出馬した大阪市長選の選挙費用に使ったのではという疑惑も頭をかすめる。
当時、文通費を「第2の財布」などと問題にし、橋下氏と大合唱しておきながら、その一方であっさり100万円を受け取り、いまごろになって「記憶が曖昧」などと言い張る。この事実ひとつ見ても怪しさしかないが、その上、文通費を違法性も指摘されるかたちで使い、挙げ句、問題となっている2015年10月分の100万円の使途さえいまだ明らかにしようとしないという態度では、「確信犯で100万円をかすめとった」という誹りは免れないだろう。
再度言う。吉村知事は「コスいことはしない」と述べたが、それを証明する使途報告書を維新および吉村知事は一刻も早く示すべきだ。
(編集部)
最終更新:2022.01.04 07:46