野党に対する不公平な扱いに対して疑問を呈したバービーの主張はまさに正論と言っていい。
しかも、番組レギュラーであるにもかかわらず、番組の姿勢に踏み込み、所属事務所の先輩であるMCの恵の圧に負けず、自分の意見をきちんと主張した勇気は高く評価すべきだろう。
しかし、残念ながらこうした真っ当な発言をできるコメンテーターは現在のテレビにはほとんどおらず、政権応援団やその空気に流されてしまう付和雷同のコメンテーターが圧倒的だ。番組も同様で、自民党や政権に対しては及び腰なのに、野党に対しては、揚足取りや事実を歪めるような攻撃を平気で仕掛けている。
その典型が、今回、『ひるおび!』でもしきりに語られていた「各党で政策が違うのに選挙目当てで野合している」という野党共闘批判だろう。
実際は、自民党だって政策がバラバラ。この間の自民党総裁選だって、候補者たちは経済政策や選択的夫婦別姓などてんでバラバラな主張をしていた。ところが、自民党に対しては「異なる主張の勢力を擁する自民党は懐が広い」などと持ち上げ、野党共闘になると「違いガー」となるのだ。
「野党は批判ばかり」というのも明らかにメディアが植え付けたイメージだ。実際は、野党は対案を常に出している。コロナ対策についても野党は数々の対案を提出、国会開催も要求してきたが、自民党がそれを拒否していたのだ。ところが、テレビはそうしたことはまともに伝えず、あたかも野党が反対だけを叫び、対策を妨害していたかのような印象を植え付けてきた。
おそらくこれから選挙戦が本格的に始まったら、あらゆるワイドショー、情報番組で、今回の『ひるおび!』のような露骨な“自民党擁護”と“野党下げ”が繰り広げられるはずだ。
このメディアの体質が変わらない限り、政権交代は難しいだろう。
(伊勢崎馨)
最終更新:2021.10.10 10:31