最初からわかっていたことだが、ようするに、この男にとっては徹頭徹尾、東京五輪は国威発揚のための装置でしかなく、自分の権力維持のためにその恩恵にあずかることしか頭にないのである。
もはや負の遺産となった東京五輪をつくった張本人が、この期に及んでも五輪礼賛を繰り広げ、自分の功績だとアピールするという厚顔無恥ぶり。しかも、ネトウヨすら読んでいるのか怪しい極右雑誌で語っているだけならまだしも、さらに呆れるのは、これが明らかに自民党総裁選に向けた動きであるという点だ。
昨日、9月17日告示・29日投開票と日程が決定した総裁選だが、自民党最大派閥である細田派を牛耳る安倍前首相は、自身は再捜査を受ける身でありながら、すっかりキングメーカーきどり。現段階では「菅義偉首相の続投を支持」のポーズをとっているが、出馬表明した岸田文雄にしろ、出馬に意欲を見せている高市早苗や下村博文にしろ、全員が安倍前首相にとっては自分の息がかかった人物ばかりで、どう転んでも安倍前首相の傀儡政権になることは既定路線だ。むしろ、安倍前首相にとって重要なのは、今後も権力を維持するため、この総裁選でいかに自分の影響力を誇示できるかということ。そんななかで「東京五輪成功の功労者」という看板を使い倒そうという目論見なのだろう。
しかし、繰り返すが、東京五輪は感染爆発を招き、さらには国民を分断した「負の遺産」であり、安倍前首相は「功労者」ではなく、まぎれもない「戦犯」だ。そして何度でも言うが、御用メディアにしゃしゃり出てアピールする暇があるのならば、まずは「桜を見る会」前夜祭の明細書、ならびに河井案里氏の選挙買収問題の責任者として、検察から返却されている自民党本部から流れた1億5000万円の使途にかんする書類を国民に提示するべきだと言っておきたい。
(編集部)
最終更新:2021.08.27 09:21