東京五輪の戦犯、トリはやはり、現役の総理大臣である菅義偉をおいていないだろう。
そもそも菅は東京五輪招致時から、安倍首相の右腕としてセガサミー会長に贈賄資金提供を要請するなど、かなり深く関わってきたと見られている。
しかし、菅首相の最大の罪はやはり、コロナ感染拡大のなかで、嘘とデタラメを駆使して東京五輪を強行したことだろう。
あれだけ「バブル方式で安全安心の大会」と言い張りながら、そのバブルは大会開催前から幻だったことが露呈。「国民の命と健康を守るのは私の責務で、このことより(五輪開催を)優先させることはない」と国会で答弁しておきながら、五輪を中止することなく「重症リスクの高い人以外は自宅療養」などという棄民政策まで打ち出すという暴挙にまで出た菅。そして、政府分科会の尾身茂会長までもが現在の感染爆発について「オリンピックをやるということが人々の意識に与えた影響はあると思う」と指摘しているというのに、いまだに「五輪が感染拡大につながっているとの考え方はしていない」と言い募り、頑として五輪開催強行の責任を認めようとしていない。
だが、現在の医療崩壊はすべて、この男の現実否認、度が過ぎた楽観主義がもたらした結果だ。
実際、東京五輪の開会式直前の7月21日におこなわれたぶら下がり取材では「(国民の命は)守れると思っている」と明言し、その根拠に挙げたのは「重症化の一番多いと言われる高齢者の感染者はこのところ4%を切っている」「ワクチン接種というのは大きな効果が出ている」というものだった。しかし、当時から重症化が深刻化していたのはワクチン接種の進んでいない40〜50代。ようするに、現実を見ようとしないまま五輪に突き進んだのである。
さらに、7月8日の会見で菅首相は、野村総研のリポートを根拠にして「人口の4割がワクチンを1回接種したあたりから感染者の減少傾向が明確になっている」などと語ったが、問題の野村総研のレポートでは〈日本でも感染拡大が懸念されるインド変異株については、特に1回のワクチン接種時での有効性が低下するという指摘もあり、今回の試算の目安となる状況が担保されるには、特にワクチンの2回接種が相応の比率に進捗するまで、変異株のまん延を回避することが重要になってくる〉と指摘されていた。このように菅首相が都合の悪い部分を無視した結果、いまの感染爆発を招いてしまったのだ。
しかし、この男に反省はまるでない。昨日7日には、2日に陽性と判明して「自宅療養」となっていた都内在住の50代女性が、5日に容体が急変し搬送先の病院で亡くなっていたことが判明。政府が進めようとする「自宅放置」がいかに危険かがあらためて浮き彫りになっていたというのに、菅首相の公式Twitterアカウントはノーテンキに金メダルを獲った日本選手に対する祝福ツイートを3連投。「自宅死」問題はおろか、コロナについては何ひとつつぶやくことはなかった。
おそらくこの先、医療崩壊がさらに深刻さを増していくだろう。ところが、IOCのバッハ会長は菅首相と小池都知事に対し、特例で「五輪オーダー」(功労章)で最高の金章を授与するのだという。昨年、安倍前首相も同じく金章を授与されているが、東京五輪の開催と引き換えに国民の命を危険に晒した戦犯たちが讃えられるとは、一体、五輪とはどこまで歪んだものなのだろうか。
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いかがだったろうか。繰り返すが、東京五輪はきょう閉会しても、この戦犯たちの罪は消えてなくなるわけではない。「終わってもまだ言うか」などという意見は通用しない。その責任はこれから、徹底的に追及されなければならないものなのだ。
(編集部)
最終更新:2021.08.08 08:51