しかも、こんな「差別演出」案を平気で出すような佐々木氏を開会式の演出家とし、「総合統括」にまで引き立てたのは、森喜朗氏と安倍晋三・前首相だ。
前述したように、佐々木氏はリオ五輪の「安倍マリオ」の演出にかかわったが、これを当時の安倍首相と組織委の森会長が大きく評価し、東京大会の演出に引っ張り上げたというのは有名な話。実際、森氏は会長辞任会見でも「安倍マリオという大変大きな国際的に話題を生むセレモニーがあったことも記憶に新しい」などと語り、昨年11月に安倍前首相と出席した「オリンピック・オーダー」授与式でも「安倍マリオと森ヨッシーのように助け合いながら、東京大会の成功に向けて力を尽くしてまいりたい」と挨拶。昨年12月に佐々木氏を「総合統括」に就任させたのも、もちろん森氏だ。
つまり、佐々木氏は「安倍マリオ」という露骨な政治利用パフォーマンスに手を貸したことで森氏と安倍前首相から目をかけられ、時代錯誤な「差別演出」案を出してチームメンバーから顰蹙を買いながらも「演出トップ」にまでのぼり詰めた、というわけだ。
今回の「文春砲」を受け、橋本聖子・組織委会長は明日会見を開き、佐々木氏の処遇について説明をおこなう方針だというが、もはや東京五輪は「差別を容認・放置する国」だということを印象づけるものになっている。佐々木氏の処遇だけではなく、開催中止をこそ即刻発表すべきだろう。
(田岡 尼)
最終更新:2021.03.17 09:36