安倍昭恵氏Facebookより
このところ「国会を開かない」安倍首相を必死で擁護している安倍応援団の田崎史郎氏。先日は、『ひるおび!』(TBS)でまったくデタラメな「国会を開いても意味がない」論を開陳して、元自治省官僚の片山善博元鳥取県知事から一刀両断されたが、昨日の同番組でも信じられない醜態を晒した。
昨日は、「即刻、国会を開くべき」「コロナ特措法を改正して、休業要請に法的拘束力を持たせ、きちんと休業補償をつけるべき」と訴えている東京医師会の尾崎治夫会長が出演したのだが、田崎氏は「日本医師会の同意を得て発言しているのか」「政府でなく東京都に言うべき」などと、政府批判を封じる言いがかりとしか思えないような反論を連発。尾崎氏を呆れさせたのだ。
だが、この田崎氏に負けていない御仁がいる。最近、アクロバティックな政権擁護で“フジのスシロー”として売り出し中のフジテレビ・平井文夫解説委員だ。31日の『バイキング』(フジテレビ)ではやはり尾崎会長の「即刻、国会を開くべき」「コロナ特措法を改正して、休業要請に法的拘束力を持たせ、きちんと休業補償をつけるべき」という主張が議題に上がったのだが、平井氏はこんなトンデモな擁護論を展開したのだ。
「実は5カ月前、3月の頭に安倍政権が特措法を最初に改正しました。そのときに尾崎さんが言っている、法的拘束力のある休業要請を安倍政権は盛り込もうとしたんですが、野党は反対し公明党も反対し自民党内からも反対が出てメディアもほぼ反対、つまり私権の制限は憲法違反であると反対したんで、やめちゃったんです」
「だから、この尾崎さんも、そのときに言えば良かったんです。5カ月前の時に、入れてくださいと言えばよかった」
「安倍政権もいまだに入れたいと思っているんですけど、立憲民主も国民も朝日新聞も権利の制限に賛成しますとは言わないんです。だから法律を出すのはいいんだけど出してみたら総論賛成、各論反対みたいなことになって、いつまでもまとまらないんです。結局、最終的に国会開いてみたら野党から文句ばかり言われたあげく、骨抜きの法律ができるのが嫌だから出さないんで、いま、言った人たちが賛成と言えばたぶん、安倍さんは国会開くと思います」
なんと、安倍政権はもともと法的拘束力のある休業要請を盛り込もうとしたが、野党やメディアの反対で盛り込めなかったというのだ。
言っておくが、これ、真っ赤な嘘だ。コロナ特措法というのは、安倍首相が民主党政権下でつくられた新型インフルエンザ特措法をそのまま適用したくないという極めて自分勝手な理由から、急ごしらえで改正したもの。国会の事前承認については多少議論があったが、法案作成や審議の間に政府や安倍首相が「法的拘束力のある自粛要請」を検討した形跡は全くない。
しかも、安倍政権はいまも法的拘束力をもたせる特措法改正に慎重な姿勢を崩していない。3日、菅義偉官房長官は、自民党の新型コロナ対策本部で休業要請を強制的にやるべきという意見が出たことについて聞かれ、「私権の制約を伴うもので、休業要請の補償の在り方といった問題も必ず出てくる」と、否定的な見解を示した(時事通信8月3日)。全国紙の官邸担当記者もこう断言する。
「菅官房長官の発言は政権の姿勢そのものですよ。強制的な休業要請をすると、必然的に休業補償をせざるをえなくなる。しかし、安倍政権はとにかく休業補償をしたくない。だから、法改正に後ろ向きなんです。最近、世論の圧力に押されて、菅官房長官が『コロナ収束後に休業補償を特措法に盛り込むことも考えている』などと発言していましたが、あれも『収束後に』とごまかしているだけ。少なくとも、ここまで、政権内部や官邸が『法的拘束力をともなった休業要請と休業補償』を本気で検討したなんてことは絶対にない」
平井解説委員は、安倍首相はいまも法的拘束力をもった休業要請を盛り込みたがっており、野党やメディアが賛成すればすぐにでも、国会を開くなどと言っているが、新聞報道すら読まずに口からでまかせをいいっているだけではないか。