首相官邸HPより
明日22日からスタートするというのに、キャンセル料の負担問題をはじめ大混乱となっている「Go Toトラベル」事業。一方、新型コロナの新規感染者数は東京都のみならず大阪府や愛知県といった全国の都市部を中心に広がりつつあり、緊迫した状況となっている。にもかかわらず、あの人が国民の前にまったく姿を現さない。安倍首相だ。
安倍首相が最後に総理会見を開いたのは、通常国会が閉会した翌日の6月18日。その後、東京都で新規感染者がピーク時を超えても、先週に全国の新規感染者数が600人を超えて過去3番目の人数となっても、そして「Go Toトラベル」の大幅な前倒しや“東京除外”といった一連のドタバタを引き起こしても、一切、国民に直接説明をおこなおうとしていない。さらには、野党からは国会の閉会中審査への出席が要求されているというのに、安倍自民党はこれを拒否。一度たりとも出席していないのだ。
朝日新聞が18、19日におこなった世論調査では、「Go Toトラベル」を22日から開始することに反対と答えた人は74%にものぼり、地域を限定した緊急事態宣言の再発出についても「出すべきだ」と答えた人は65%となっている。このように多くの国民が政府の方針に疑念を抱いているというのに、安倍首相はそうした声を無視しつづけるばかりか、方針を国民に説明するという総理大臣としての務めさえ放棄しているのである。
当然、「説明責任を果たせ」「無責任だ」という批判は日増しに大きくなっているが、そんななか、呆れるような記事が出た。きょう発売の「月刊Hanada」(飛鳥新社)9月号に、安倍首相の独占インタビューが掲載されているのだ。
以前、本サイトでもお伝えしたように、じつはこのインタビューは7月2日に収録されたもの。そう、東京都の新規感染者が100人の大台に乗った日である。この日、午後すぎには東京都の新規感染者数が100人以上になることが報じられていたが、安倍首相は16時1分に公邸に入ると、約1時間、「Hanada」のインタビューを受けていた。その後、19時前に記者団のぶら下がりに応じて「西村担当大臣からしっかり考え方について述べさせてもらっている」などと答えたが、その時間はたったの1分だった。
本来なら緊急記者会見を開き、今後の対策について国民に説明をおこなうのが当然だったというのに、それもせず、極右雑誌のインタビューには約1時間も応じながら、記者団にはわずか1分しか割かない……。安倍首相といえば、窮地に立つと極右メディアに逃げ込み、ネトウヨ論客にヨイショされまくって癒やされるという行動を繰り返してきたが、感染の再拡大という国民の健康と安全がかかった局面でも、同じことをやっているのである。
しかも笑わせるのが、この独占インタビューの記事タイトルだ。重要な日に国民への説明を放り出したというのに、そのタイトルは「安倍総理、闘争宣言」。
どう考えても「逃走宣言」の間違いだろ、と突っ込まざるを得ないが、さらに酷いのは、その中身だ。