分科会後の記者会見で尾身会長は「どこかで線引きをしないといけないですよね。そういうことで、東京を一つ例外としたのは合理的な判断だと思います」と語り、東京除外で分科会も了承したと報告。分科会メンバーの岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長も、分科会後に記者団に対し、「『GoToキャンペーンを止めるべきではないか』とか『3カ月様子を見よう』という意見は出なかった」と述べた。
しかし、同じように記者団に囲まれた分科会メンバーの釜萢敏・日本医師会常任理事は、こんなことを語っていたのだ。
「地域によって感染の様子は違うわけだし、東京だけが感染しているわけじゃないから、東京だけということよりは、まずは自分の県、あるいは隣県くらいまでのあいだでやりながら広げていったらどうかなっていうようなことを言おうと思ったんですけども、それはとくにしゃべる機会がありませんでした」
つまり、東京以外でも慎重に運用するべきではと提言しようと思ったものの、それを発言する機会がなかった、というのである。発言機会が与えられなかったのか、それともたんに日和っただけなのかはわからないが、ともかく、忌憚なく意見を出し合うという場にはなっていないことはたしかだ。
さらに、今朝の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)によると、経済学者である小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹も、「東京と隣接する県や大阪も対象外にしなくていいのかと質問したが、分科会の中ではそれ以上議論は深まらなかった」とコメントしていた。
繰り返すが、東京のみならず他府県でも感染拡大の局面にあるというのに、東京以外はどうするのか、全国で実施して大丈夫なのかという議論が深まらないまま「東京除外」でどうして決着をつけられるのか。というか、これがほんとうに感染症の専門家が入った会議体なのか。