しかも、安倍首相のこの「思いつき」は、税金の無駄遣いであるだけではなく、いま保健所をも圧迫しているという事実がある。
やはり不良品が見つかっている妊婦向け「アベノマスク」は全国の市町村に発送されているが、じつは、不良品かどうかの確認作業が保健所でおこなわれているケースがあるというのだ。実際、大分市保健所では、スタッフが布マスクを1枚1枚確認し、2100枚のうち約640枚が不良品だったという。
現在、保健所は住民からの電話相談や入院先の調整、濃厚接触者の健康観察などの業務にあたっており、パンク寸前の状態にあると報じられている。事実、感染者の多い16都道府県の35カ所の保健所に共同通信がアンケート調査した結果、9割にあたる32カ所の保健所が「限界ぎりぎりで対応している」「事実上、限界を超えている」と回答。「職員が1人でも倒れたら破綻する」(東京・池袋)「職員がいつ感染してもおかしくない」(神奈川・横須賀市)という悲鳴があがっている。だが、そんな状態の保健所に、不良品続出の妊婦向け「アベノマスク」の検品という作業まで押し付けられているとは……。
国民がいまもっとも求めているのは、生活のための手厚い補償・支援策であり、医療体制の強化だ。だが、そこから目を背け、「マスクを配っておけば納得するだろう」と国民を軽く見た結果が、この「アベノマスク」なのである。国民を見下す総理大臣の本質が如実にあらわれた「アベノマスク」問題の追及が今後も必要だ。
(編集部)
最終更新:2020.04.27 08:04