しかも、今回の緊急経済対策を、安倍首相は「GDPの2割に当たる事業規模108兆円、世界的にも最大級の経済対策」などと言っているが、本サイトでは繰り返し指摘しているように、108兆円にはたんに支払うのを延期してもいいというだけの納税や社会保険料の支払い猶予分の26兆円、さらに新型コロナとはまったく関係なく昨年末に策定した経済対策まで含めている始末で、「世界的にも最大級」とは言い難いハリボテだ。
その上、直接の財政支出する、いわゆる“真水”について、菅官房長官は「確たる定義はない」とした上で「39兆円」と述べていたが、ゴールドマン・サックス証券は〈GDPに直接計上される「真水」の部分は計14兆円程度と見積もっている〉というのである(ブルームバーグ8日付)。
この期に及んで水増しした108兆円という数字で国民の目を欺こうとする安倍政権──。さらに、“緊急経済対策の目玉”だという現金給付についても、大串議員はこう言及している。
〈新型コロナウイルス緊急経済対策の中の中小小規模・個人事業者への最大200、100万円支給、収入減世帯への30万円支給については、役所からヒアリングしましたが、どのような書類をもって申請すれば良いのか、という肝心なところが詰まっていない。5月には支給(安倍総理)とはかなり難しいのでは。〉
〈特に、中小小規模・個人事業者への200、100万円支給については申請窓口さえ、「これから検討」と。かなり生煮え感があります。〉
すでに「どうやって暮らしていけばいいのか先が見えない」と窮状を訴える声があがりはじめているのに、申請の手続きや窓口さえいまだ決まっていない状況……。安倍首相は7日の会見で「スピードを重視した」と言い、一律に現金給付するより早く給付できると豪語したが、これでは破産や困窮によって首をくくる人が出てくるような最悪の事態になるのではないか。
布マスクを2枚配布する「アベノマスク」に466億円をかける一方で、多くの国民を切り捨てようとする安倍政権。布マスク配布を「ポピュリズムだ」と批判する声もあるが、はっきり言って、安倍首相は大衆や世論に迎合しようとさえしていない。国民は徹底的に見下され、バカにされ、見捨てられようとしているのだ。
SNS上では、いつもの糸井重里だけではなく、スガシカオなどの著名人からも「誰かを責めるな」「いまは批判や怒りではなく一致団結しよう」などという声があがっているが、そうやって批判の声を抑え込んでいれば、早晩、多くの国民はこの国の棄民政策によって見殺しにされてしまう。「布マスクに466億円」という愚策にも、休業補償の拒絶にも、黙っていてはいけない。声をあげるべきは、いまだ。
(編集部)
最終更新:2020.04.09 07:24