中小企業には返済が必要な「融資・貸付」で、大企業には「出資」……。言うまでもなく、安倍政権下で大企業の内部留保は肥大しつづけ、2018年度の法人企業統計によると、その額はなんと463兆1308億円で過去最高を記録している。大企業にはこの貯めに貯め込んだ内部留保があるのだから、こんなときこそフル活用するよう政府はまず促すべきだ。なのに、スピードが命の問題に直結する生活困窮者への支援には金を出し渋るなかで、安倍首相は大企業への出資案を着々と進めるのである。
国民がいまどんな生活を強いられ、何を求めているのか、それを想像しようとも知ろうともしない安倍首相。だが、より深刻なのは、「これでは国は壊滅する」と安倍首相に進言する者がいないという現実のほうだろう。
実際、安倍首相は「1住所に布マスク2枚配布」などという噴飯ものの愚策を英断であるかのように発表したばかりだが、朝日新聞デジタル2日付記事によると、なんとこの世紀の愚策を、安倍官邸は1カ月以上前から構想。その“発案者”について、記事ではこう書かれている。
〈「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」。首相にそう発案したのは、経済官庁出身の官邸官僚だった。〉
布マスクを配ることで「不安はパッと消える」と言い切る官邸官僚は国民をバカにしきっているとしか言いようがないが、この書きぶりからすると、問題の〈経済官庁出身の官邸官僚〉というのは、“影の総理”とも呼ばれる今井尚哉首相補佐官兼秘書官のことだろう。
前述した大企業への出資案にしても、永田町では「今井首相補佐官主導によるもの」という声が出ているが、今井氏が推し進めてきたアベノミクスや原発輸出などの政策を見ればわかるように、今井氏の頭にあるのは経産省の利権拡大ばかりで、国民の生活や安全を守ろうという視点はまるでない。だが、そんな今井氏を安倍首相は「なんて頭がいいんだ」と惚れ込み、安倍首相が唯一進言に耳を傾ける存在になっている。新型コロナ対応でもそれは変わらない、ということなのだ。
バカ殿とその家臣による愚策によって、守られたはずの命、落とさなくていい命が失われてゆく──。そんな悲劇を起こさせないためにも、愚策には「ふざけるな」と声を大きくあげてゆくしかない。いまこそ、奴らに言うことを聞かせなければいけない「国難」なのだ。
(編集部)
最終更新:2020.04.03 11:04