周知の通り、安倍首相はこのつい2日前、6日の衆院予算委員会でも、同じような悪質なヤジを飛ばしている。無所属の今井雅人議員が、加計学園問題をめぐる「萩生田副長官ご発言概要」について、萩生田文科相に「文科省でこのメモは見つかったわけですよね。であれば、これは文科省の人が書いたと思われますが」「文科省で見つかったと松野(博一・元文科)大臣がおっしゃっていますから、内容からして誰かがつくっているわけです」と質問を行ったのだが、そこで安倍首相は自席に座りながら、今井議員に指さして「あなたがつくったんじゃないの」なる陰謀論むき出しのヤジを放った。
それだけはない。毎日新聞デジタル版7日付記事(「やまぬ安倍首相のヤジ 今年だけで不規則発言20回超『民主主義の危機』」)によれば、今年、安倍首相は11月6日までの国会で質問者の質問中に発したヤジは、少なくとも26回に及ぶという。たとえば、2月4日の衆院予算委では、厚労省の統計不正問題に関する統計作成などの政治的中立性への疑問に対して「ないよ、そんなもん」。2月18日の同委では、実質賃金の伸び悩みを指摘する野党議員に「(自民党は)選挙で5回勝っている」と驕りまくったヤジを飛ばした。8日の「共産党か!」ヤジも含めれば、今年だけで27回だ。
もっとも、安倍首相は今年に限らず、これまでも散々国会で追い詰められるたびに信じられないようなヤジを飛ばしてきた。
代表的なのは、2015年2月の衆院予算委員会。当時の西川公也農水相への献金問題を追及していた民主党議員に対し、安倍首相はニヤニヤしながら「日教組!」「日教組どうするの日教組!」というヤジだろう。安倍首相は“民主党は日教組から金をもらってるだろ?”とレッテル貼りをしたわけだが、これは完全なデマ。安倍首相も後に事実誤認であることを認め、発言を訂正するにいたった。
同じ年の5月の衆院特別委に、安保法制をめぐる自衛隊の機雷掃海のリスクについて指摘する辻元清美議員に「早く質問しろよ!」とイライラした調子で声を張り上げた。このヤジの前日、安倍首相は「与党側はこんなに静かに礼儀正しく聞いてるじゃないですか。みなさんも少しは見習ったらどうですか」「議論の妨害はやめていただきたい。学校で習いませんでしたか」などとヤジを批判していたにもかかわらずだ。しかも、安倍首相は「早く質問しろよ!」ヤジの3カ月後にも「まあいいじゃん、それで」というヤジをかましている。まったく反省の色がないのだ。
安倍首相は曖昧な答弁が批判を受けると、すぐに「ヤジはやめませんか、いま私が話してるんですから」「国民のみなさん、私が答弁しようとするとこうやってヤジで妨害するんです」などと被害者ヅラするが、他ならぬ本人が野党の質問をヤジりまくっているのである。
前述の毎日記事では、ベテラン政治評論家の森田実氏が「品格がなさ過ぎる。戦後、こんな首相がいたでしょうか」と苦言を呈しているが、もはや“品格のなさ”というより“サイコパス”ではないのか。実際、安倍首相は2016年5月、松本人志の『ワイドナショー』(フジテレビ)に出演した際、国会でヤジを飛ばすことについてこう話していた。
「(国会でのヤジは)独り言だったんですが、独り言(の声)が大きくなった。修行が足りないですね」
国会で追及される政権の問題や政策の不備について、本来、しっかり国民へ説明せねばならないのに、それを放棄して「日教組!」「共産党か!」などと“独り言”でヤジってしまうのだとすれば、はっきり言ってヤバすぎる。6日の「あなたがつくったんじゃないの」ヤジもそうだったが、安倍首相は完全にネトウヨ的陰謀論に支配されて、おかしくなっているのだろう。もはや常人には理解不能の領域だ。このまま、本当に総理の椅子に座らせておいていいのか。有権者はもっと真剣に考えるべきだ。
(編集部)
最終更新:2019.11.10 12:41