周知のとおり、日本政府は朝鮮学校を無償化対象から除外するという差別政策を取っており、また東京都や大阪府をはじめ自治体から朝鮮学校への補助金停止も相次いでいる。
つまり、日本は、朝鮮学校を税金でサポートしていないにもかかわらず、災害時には避難場所として提供させているのだ。ご都合主義にもほどがあるのではないか。
先日の台風19号の際、実際に東京都足立区の第一次避難所として開放された東京朝鮮第4初中級学校に話をきいた。台風当日、責任者を務めた金順彦理事長が話をしてくれた。
「12日は、足立区内に住んでいる学校の在日同胞の方、父母、日本の近隣の方々が来られました。全部で43名、日本の方は12名でした。2003年6月に第一次避難所として足立区と協定を結んだので、当然、避難されてきた近隣の方々は命を守るということで、受け入れました。
学校には災害に備えて備蓄品があるので、毛布やマットは備蓄品を使い、食事は学校の父兄がおにぎりとスープをつくって、みなさん、一緒の部屋でテーブルを囲みながら食べました。
雨が降って蒸し蒸しするので、教室にいてもらいました。各教室にはテレビがあるので報道番組を観られるようにしていました。
夜は責任者である私が、1時間おきに見回りし、体調が悪いかどうかうかがうなどしました。
翌朝、みなさん『ありがとう』と言って、各ご家庭ごとに片付けをして帰っていかれました」
区の職員とは電話で連絡を取り合ったが、当日の避難所の運営は、学校職員や生徒の保護者などの手で行われたという。場所の提供だけでなく、食事づくりなどの運営も在日の人々のボランティアによるものだ。
台東区の避難所でホームレスが受け入れ拒否された問題について、「税金を払っていないから」という声があることに触れると、「でも人道的な立場からすると、そういうことは関係なしですよね。命を守るという面では、同じ人として」と苦笑いした。