日本の災害避難者が国際基準を明らかに下回る劣悪な環境に置かれる現状を考えれば、イタリアのように防災組織の抜本的見直しが必要なのはあきらかだ。しかし、この提言に対し、安倍首相の答弁は、まったく危機感のないものだった。
「行政府の防災や危機管理への対応に関しては、内閣総理大臣の指揮のもと、内閣官房や内閣府が中心となって、省庁横断的な取り組みをおこなってきております。現在の枠組み自体については、最近の大規模災害に際しても十分な機能を果たしたものと認識しており、新たに統一的な組織を設置する必要性は低いと考えております」
前述したように災害関連死は熊本地震でも200人を超えている。西日本豪雨でもプッシュ型支援でミスマッチが起こったり、深刻な浸水被害を受けた岡山県倉敷市真備町のある避難所では簡単な間仕切りさえ設置されたのは避難所の開設から約1週間後だ。それでも、安倍首相は「現在の枠組みで十分な機能を果たした」と言い、抜本的な見直しはおこなわないと明言したのである。
安倍首相がこうした姿勢をとりつづけるかぎり、災害大国・日本では、「雑魚寝が当たり前」の劣悪な避難環境の姿は変わることはない。昨年の西日本豪雨と同様、初動が完全に遅れた台風15号を含め、安倍政権による災害対応の問題には、もっと徹底した追及が必要だ。
(編集部)
最終更新:2019.10.16 07:44