テレビ朝日では昨年4月女性記者が財務省事務次官のセクハラを告発したばかり。そんななか、報道番組の最高責任者が職権を利用してセクハラをはたらいていたとは信じがたいが、桐永チーフプロデューサーをめぐっては、安倍政権の顔色をうかがっているというだけでなく、横暴さ差別性も取りざたされていた。例えば、桐永氏が7月に就任した際、こんな所信表明をしていたことが「週刊文春」に報じられた。
〈(今の報ステの)イメージは偏差値七十くらい。東大は入れるんじゃないかという感じ。偏差値五十の庶民が見た時に理解できないからチャンネルを変えちゃおうとなっちゃってる〉
また、ネットでは、桐永氏が自身のFacebookに、丸川珠代氏とのツーショットを掲載していたことや、性暴行を告発された安倍官邸御用ジャーナリスト・山口敬之氏とFB上で「友達」になっていたという情報も拡散した。
そう考えると、改めて問われるべきは、この桐永氏を『報ステ』チーフプロデューサーに抜擢した“テレビ朝日のドン”早河洋会長の責任だろう。冒頭でも簡単に触れたが、同局を独裁支配している早河会長はある時期から、テレ朝・放送番組審議会委員長の見城徹・幻冬舎社長を通じて、安倍首相と急接近。その意向を受けて、局内の政権批判報道潰しに動いてきた。圧力で報道を潰すのはもちろん、報道局に政権と近い人物を配置し、ジャーナリスティックな姿勢を持つスタッフや記者を次々報道から追い出す人事をおこなってきた。
その早河氏が、『報ステ』の政権批判潰しのために送り込んだのが、桐永氏だったのである。『報ステ』のチーフPは代々、内部昇格するケースが大半で、それによって番組の基本方針を継承してきた。ところが、早河氏は朝の情報番組『グッド!モーニング』のチーフだった桐永氏を強引に“外部”から抜擢。自分の意に沿った番組作りをさせたのである。
実際、桐永氏が『報ステ』で行ったスポーツ重視も、スポーツに力を入れてきた早河会長の意向に沿ったものだし、徳永アナの抜てきについても、他でもない桐永氏自身が「徳永アナは早河さんの意向だった」と漏らしていることをやはり「週刊文春」が報じている。
そういう意味では、今回の桐永氏のセクハラは早河会長の安倍政権忖度人事が引き起こしたと言っても過言ではない。