実際、安倍官邸はこういう結果になることを予測して、もともと参院選の勝敗ラインを低く設定していた。
二階俊博幹事長は勝敗ラインを自公で改選議席の過半数となる「63議席」と掲げたが、一方で菅義偉官房長官や萩生田光一・幹事長代行は「全体の過半数」「改選過半数」と言い出して自公で53議席に勝敗ラインを引き下げた。これは、公明党が目指していた13議席を差し引くと、自民は40議席を獲得すればクリアできる設定。ちなみに、自民党が大敗して安倍首相の辞任につながった2007年参院選の議席は37。つまり、安倍官邸はあの大敗時より3議席多いだけの数字を勝敗ラインに設けた。
その結果、10議席も失いながら「民意は示されたのだから、野党は改憲論議に参加すべきだ」などとめちゃくちゃな主張をしているというわけだ。
だが、こうしたインチキは安倍政権だけではない。新聞やテレビも同罪だ。開票が始まるや、一斉にその低いハードルに乗っかって「安倍政権 改選過半数確実」と打ち、まるで「圧勝」であるかのように盛り上げた。
そして、選挙特番に安倍首相が登場した時点では、前述の重点区で自民党の苦戦が浮き彫りになっていたというのに、そうした点を鋭く追及したキャスターは皆無だった。憲法改正の議論を進めることに歯止めをかけるような結果になったにもかかわらず、ほとんどがそれを突きつけようともせず、「安倍総裁の4選もあるか」などと煽り続けたのだ。
メディア支配で批判報道を押しつぶす安倍政権のやり口については、本サイトでも散々批判してきたが、選挙の結果までが捻じ曲げられるとは、いよいよこの国も本格的に「独裁国家」に近づいてきたということかもしれない。
(編集部)
最終更新:2019.07.22 09:19