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2019年参院選ウヨミシュラン(前編)

参院選の極右候補者をチェック「ウヨミシュラン」比例代表編! ヘイト、表現への圧力、人権否定、女性差別…

和田政宗 ☆☆☆☆☆☆☆ もはや極右以上!人権を破壊する「和田改憲試案」の恐ろしい中身

 とても☆☆☆では言い表せない、今回の参院選のなかでも郡を抜いたネトウヨっぷりを発揮する和田氏。ネトウヨ御用達雑誌「JAPANISM」2014年6月号掲載の鼎談では「極右かもしれません(笑)」と自らおどけているが、もはや思想的な“極右”かどうか、そんな基準で測るにも値しない。
「まさかとは思いますけども、太田理財局長は民主党政権時代の野田総理の秘書官も務めておりまして、増税派だから、アベノミクスをつぶすために、安倍政権を貶めるために、意図的に変な答弁をしているんじゃないですか?」
 森友問題をめぐり、国会質疑で太田充・財務省理財局長(当時)に対してブッ放ったこの陰謀論攻撃は、ある意味で伝説となった。最近も「週刊文春」に「公示前の事前選挙運動」を報じられ、「切り貼りされた」「文春の加藤晃彦編集長、『とにかく和田政宗を攻撃する記事を書け』と指示したというのは本当でしょうか?」などとほざいていたが、結局、文春にノーカットの音源を公開された。批判されると陰謀論で逆ギレする姿はネトウヨそっくりだ。端的に言って、無様である。そんな和田氏を応援する集会に安倍昭恵夫人が登場し、熱烈なエールを送ったのは本サイト既報のとおり。
 だが、はっきりしておきたいのは、この人が単なる“ネトウヨ芸ひけらかしおじさん”ではないということだ。たとえば著書『日本国憲法「改定」』では、〈「日本が侵略戦争をし、植民地支配をした」という論〉を〈これは歴史的事実からも否定されるもの〉〈日本は韓国、台湾を統治したが、それは植民地支配ではない〉などと言って否定しつつ、〈日本精神をくじくための教育界をはじめとした工作活動が効果を発揮してしまっている〉などと述べているのだが、同書に掲載されている憲法改正の「和田試案」を読むと、本当に頭がクラクラしてくる。
 和田試案では現行の9条に関して〈国家固有の権利として自衛権を保持し、自衛のための軍その他の戦力を保持する〉を加えるなど、もはや平和憲法の形跡など微塵もない。だが、これは序の口だ。
 国民の権利や自由に関する規定では〈日本国民は、法律に反しない限り、政治活動の自由がある〉、〈日本国民には、法律に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由がある〉、〈日本国民は、法律で定められた例外を除けば、通信の秘密を侵されない〉、〈日本国民は、法律に反しない限り、勤労者の団結する権利および団体交渉その他の団体行動をする権利がある〉などと並べられている。お分かりだろう。国民の諸権利に対して、いちいち「法律に反しない限り」などの文言がつけられているのだ。
 言うまでもなく、「法律に反しない限り」などと憲法に書き込むと、それら「権利」や「自由」を弾圧する法律をつくることに制限がなくなる。これは和田氏が、憲法は権力を縛るものだということ(最高法規性)を全く理解していないのはもちろん、発想として、個人の人権や自由を政治体制が制限することに躊躇がないことを意味している。
 他にも、法の下の平等を定める現行第14条、請願権に係る現行第16条、議員および選挙人の資格を定める現行第44条には、いずれも差別を禁じる規定があるのだが、「和田試案」ではこれらがすべて削除されている。まして和田氏は、試案について〈人権に関する条項の数はできる限り絞り込み、法律で規定するかたちにする〉〈憲法や民主制は、国家が存在して初めて成立するものである。よって、政党については、国家の存在を認めることを最低限の条件とする〉などと自慢げに解説しており、個人の権利に関する条文を大幅に消している。
 思い出してもらいたい。安倍自民党はいま、9条など日本国憲法を変えようとしている。さすがに和田氏の試案ほど頭が悪くはないが、本音は似たりよったりだろう。少なくとも、こういう人物を公認し比例で出馬させるのが、正真正銘、いまの自民党なのである。


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 いかがだっただろうか。やっぱり自民党候補ばかりになってしまったわけだが、上で紹介した以外にも、タカ派改憲論ないし歴史修正主義をバラまく極右候補は大勢いる。また、後編では参院選挙区での「ウヨミシュラン」を公開するので、そちらも是非ご一読いただきたいところだ。
 いずれにしても、当たり前のように「憲法9条改正」を唱える候補者ばかりで、ちょっと感覚が麻痺しそうになるが、その裏には差別意識や、人権を否定するグロテスクなイデオロギーが潜んでいるのである。選挙で正面から連中を止められるのは、有権者だけだ。それを忘れないでほしい。

最終更新:2019.07.20 08:14

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