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「大阪の街場」にこだわってきた名物編集者が分析する維新人気の正体とは?

江 弘毅  わたしが“維新とW選挙の検証本”を編集した理由──「おもろい」維新が大阪の街の「おもろい」を壊す

『緊急検証 大阪市がなくなる』吉富有治

 4月に大阪府知事・市長の「クロス選」が行われ維新が圧勝した。これは公職選挙法で「任期の特例規定」が定められている「出直し選」とは違う。「クロス選」の悪質なところは、その法の目をかいくぐるために、府知事と市長を同時に辞任し「入れ替えで」立候補した点にある。そもそも任期を延ばすことを目的化して「出直し選」を行うことを禁じる法に対しての「脱法行為」にほかならないのだ。

 と、書き出しただけで「法に触れなかったら何でもやってええんか」とほとんど気分が悪くなるほど疲れるが、「チョット待てよ」とこれまでの維新議員たちのカネ・酒・女性そして選挙の不正問題、維新の党との分裂騒動、森友学園問題、はたまた丸山穂高や長谷川豊両氏のこのところの醜態を重ね合わせたりする。

 なぜ不正や疑惑のデパートであり、そもそも議員としてその資格を問われるようなレベルの人間ばかりの維新が「どうして強いのか」。

「大阪はバカばかりか」「橋下氏が不在となった後もどうして維新が大阪では強いのか」等々、維新を選んできた大阪人について地元のわれわれが問われることが多い。

 それについては「大阪人はアホばかりやから」はもちろん論外だ。かといって「長い間、石原慎太郎が都知事をやって。それで今度は小池百合子ですか?」などと逆質問することも無効だ。

 しかし、よく言われる「大阪は『おもろい』が優先される」こととは少し関係がある気がしている。

 大阪という雑多な街に住み、これまた雑多な考え方や言動をする大阪人はそれでも本来的に「知り合いばかりで、みんな良い人おもろいヤツ」という街場の人づきあい上で理想倫理がある。

 街場や町内会でも、籠池泰典氏みたいな顔見知りが必ずいる。極右でわがまま放題、迷惑をかけるそんな年寄りにも「難儀なおじいやなあ」と言いつつ、「近所の人やから」とその人の面倒をみたりする。

公務員を「ええな、宮勤めで」「あいつら景気関係ないもんなあ」とは言うが、同じ街場の人間であり近所の知り合いにも公務員がいるから、直接叩いたりはしない。

 一方で、橋下氏のようにとにかくインパクトのある発言に対しては「口が悪いけど、一理ある」と反応してしまう。政治理念や思想のあるなし、その当否とかではない。「おもろくない人はあかん」という人に対しての理念があるからだ。

「小中学校にエアコンを設置し、給食を食べさせるようになったのは橋下市長だ」など成果の横取りデマについても、「みんな良い人」という人間観が根底にあるから、「よう頑張ってるやん」となしで信じてしまう。

「ファクトチェック、なんやそれ?」であり、今回とくに悪質だった「あいりんを改善したのは橋下市政。西成区・あいりんに近接する地域を地盤とする柳本一家は70年にわたって歴代で議員をしているのに何もしなかった」とのTwitter上のデマにも簡単に騙されてしまう。

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