ほかにも、鯨漁を守る立場から、IWC脱退という最終手段ではなく、IWCや加盟各国と粘り強く交渉し、協調的な調査捕鯨を継続すべきだった、という専門家の意見は多い。南極海での調査捕鯨が「事実上の商業捕鯨」と見られたのには、もちろん反捕鯨国の思惑はあったにせよ、調査内容を再確認するなどして、うまく立ち回ることもできたはずだ。
にもかかわらず、安倍政権が選んだのはIWC脱退という、最も強硬な態度だった。戦後、日本が国際機関を脱退するのは、これが初めてとされている。
実は、このIWC脱退についても、外務省からは国際協調主義を理由に慎重論も出ていたとされる。ところが、それを捕鯨が盛んだった山口県を地盤とする安倍首相や林芳正前文科相、和歌山県選出の二階俊博自民党幹事長らが押し切ったといわれている。
「国益を損なう」というのは、こういうことではないのか。韓国への輸出規制にせよ、IWC脱退にせよ、安倍政権の行動から見えてくるのは、ナショナリズムを煽るために「国益」を捨てるという倒錯した思考回路だ。安倍首相は、これらが国際的に大きな失策だと気がついていないのだろうか。だとしたら、やはり“ネトウヨ脳”のトンデモ宰相だと断じざるを得ない。何度でも言う。この国の総理大臣は、完全にどうかしているのである。
(編集部)
最終更新:2019.07.03 04:02