さらに、英国と日本の大きな違いは、“アンチ・トランプ”の表現がマスメディアにも広がっているところだ。BBCなど英国メディアはデモを詳しく取りあげ、その批判の意味するところを解説した。また、英大手紙「ガーディアン」は2日、「トランプ氏訪英への本紙の見解:大統領を歓迎しない」と題する社説を堂々とうった。
〈トランプ氏は、平和と民主主義そして地球の環境を脅かす象徴的なデマゴーグだ。英国最大の同盟国たる米国が選んだリーダーであるから、彼を無視することはできない。しかし、トランプ氏とその妻、成人した4人の子どもたちを女王の賓客とすることは、彼の破壊的なポリシーや縁故主義、独裁的傾向にお墨付きを与えかねないのだ〉
〈英国訪問中、トランプ大統領はバッキンガム宮殿やノルマンディー上陸作戦75周年記念式典などで王室と顔をあわせることになるが、最大の危険は、それが彼のエゴを増長させるということではない。ホスト国イギリスにとってより深刻に考えるべき脅威は、トランプ氏の存在と公式声明が反民主主義や極右ポピュリスト分子を増長させるだろうということだ〉
つまるところ、市民からメディアまで、トランプ大統領の問題をしっかり指摘し、反対の意思を表明し、自国がこの米大統領を国賓としてもてなすことがいかにマイナスであるかを力説する。それが、英国がみせたトランプへの姿勢だったのである。
一方、日本はどうだろう。トランプ来日に抗議する市民のデモは東京でもおこなわれたが、それを大きく報じたテレビ局はほとんどなし。米ABCニュースは両国国技館周辺で抗議する人びとの様子を流したが、日本のメディアは無視した。