しかも、これは打ち合わせ記録だけにとどまらない。面談時に使用された説明資料についても、官邸の文書を管理する内閣総務官室は〈保存期間を国立公文書館の審査を経ずいつでも廃棄できる1年未満に設定し、面談後に廃棄している〉と説明(毎日新聞4月13日付)。「1年未満でいつでも廃棄できる」ということは、面談翌日でも廃棄できるということだ。
事実、各大臣の面会記録をめぐっても、「作成当日」あるいは「極めて短い期間」で破棄されていることが、今年4月末、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」の情報公開請求を通じて判明したばかり。また、塚田一郎国交副大臣(当時)が「私が忖度した」と安倍首相と麻生太郎財務相の地元への利益誘導を認めた件の問題追及でも、道路建設に向けて動いていた自民党の大家敏志参院議員が自身のFacebookで、昨年12月19日に自民党の北村経夫参院議員と財務省を訪問し麻生太郎財務相に陳情をおこない、麻生財務相からも「しっかりやってほしい」と言葉をもらったことを写真付きで報告していたが、財務省はこのときの面談記録は「ない」とし、麻生財務相も「陳情を受けた記憶はない」と言い張った。福岡県選出で麻生派の子飼い議員である大家議員が写真まで公開しているのに、「記録がない」ことをいいことに「記憶がない」で逃げたのだ。
記録は取らない、残さない。資料は破棄する……これは国民主権を踏みにじる行為だ。このままでは森友・加計や自衛隊日報隠蔽といった問題はなくなるどころか悪化し、政権に不都合な記録はまったく表に出ず、後世になって重要政策の決定過程なども検証することも不可能になってしまう。安倍首相がこうしてこの国を、近代国家として機能しない状態に陥らせているということに、一体どれだけの人が危機感をもっているのだろうか。
(編集部)
最終更新:2019.06.03 10:19