こうした声は、幻冬舎で著作を出版している作家たちからも上がった。『新宿少年探偵団』などで知られるミステリー作家の太田忠司氏は〈ああ、これは駄目だよ。出版社の人間がけっして言ってはならないことだよ。作家との信頼関係を決定的に損なうよ。〉とツイート。『サクリファイス』などで知られる作家・近藤史恵氏も〈別に志の高い出版社だとは思っていなかったけど、それにしたってこれはないわ。今幻冬舎から単行本を出すために直し作業をしている最中だけど、すごい勢いでモチベーションが下がる。〉と漏らした。
大藪春彦賞受賞の『凍てつく太陽』を幻冬舎から出しているミステリー作家の葉真中顕氏も〈版元の社長が揉めてる作家の著作の部数を実売込みで公開するとか、完全に一線越えてる。作家の言い分への反論だとしても、こんなやり方はない〉と怒りの声をツイートしている。
また、ベストセラー『君の膵臓をたべたい』で知られる作家の住野よる氏も葉真中氏のツイートをRTしたうえで、こんな複雑な思いを吐露した。
〈酔ってない時にちゃんと言うと、幻冬舎の担当さんは大好きだけど、幻冬舎は好きじゃない。どっちも好きになれたらいいのに。です。〉
そして、見城氏に実売部数を暴露された津原氏の著書『音楽は何も与えてくれない』で漫画を書き下ろしている漫画家の喜国雅彦氏は、皮肉たっぷりに幻冬舎への決別宣言を口にした。
〈僕は津原さんの友達ですが、これまで我慢して発言しませんでした。Twitterの自分ルールに反するからです。でも今回の部数発言はさすがにスルーできません。その本に僕は漫画で参加させてもらってます。どうもすみませんでしたね。安心してください。もう二度と貴社では描きませんから〉
言論人のなかからは、幻冬舎への執筆拒否、幻冬舎との決別を呼びかける動きまで出てきた。思想家の内田樹氏がこうツイートしたのだ。
〈やはりここまで来たら日本の作家は「幻冬舎とは仕事をしない」ということを宣言すべきだと思います。僕はもともと幻冬舎と仕事をする気がないし、先方も頼む気がないでしょうから「勝手なことをいうな」というお立場の作家もいるでしょうけれど、それでも。〉