小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

新天皇が一般参賀の“お言葉”で憲法違反の儀式「剣璽等承継の儀」に言及! 復活する国家神道の神話 

即位した新天皇夫妻(宮内庁HPより)


 5月4日、即位した天皇と皇后の一般参賀がおこなわれ、徳仁天皇が国民に向けてこんな「お言葉」を述べた。

「このたび剣璽(けんじ)等承継の儀、及び即位後朝見の儀を終えて、今日このように皆さんからお祝いいただくことをうれしく思い、深く感謝いたします。ここに皆さんの健康と幸せを祈るとともに、我が国が諸外国と手を携えて世界の平和を求めつつ、一層の発展を遂げることを心から願っております」

 新天皇は5月1日、「即位後朝見の儀」でも「お言葉」を述べたが、本サイトは、明仁上皇が天皇即位の際に「皆さんとともに日本国憲法を守り」と語ったのに比べると、護憲的な姿勢が弱くなっていると指摘。背景に、安倍政権の圧力があったのではないかと分析した。

 しかし、今回の一般参賀のお言葉はさらに後退したものになった。それは、日本国憲法に一切触れなかったことだけでなく、天皇自らが「剣璽等承継の儀」という憲法違反の儀式を終えたことを国民に報告したからだ。

「剣璽等承継の儀」は皇位継承者(皇嗣)が即位する際に皇位継承の証として剣と璽(勾玉)、国璽(国の印)、御璽(天皇の印)を受け継ぎ、新天皇となる儀式で、国事行為として行われる。

 しかし、この儀式は戦前の「登極令」にあった「剣璽渡御の儀」を再現したもの。これが宗教行為であることは、その剣と璽の由来を見れば明らかだ。剣である天叢雲剣、璽である八尺瓊勾玉は、八咫鏡とあわせて「三種の神器」として古事記に登場する。天照大神(アマテラスオオミカミ)から瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に授けられたという神話に基づく、戦前の国家神道のベースになった極めて宗教的な品物なのだ。

 また、この「剣璽等承継の儀」で、高御座に立つ天皇の構図は記紀にいう「天孫降臨」に見立てたものともいわれている。

 実際、昭和から平成の代替わりでは、大嘗祭だけでなく、この剣璽等承継の儀も、憲法の政教分離の原則に違反しているのではないかという批判が起きた。

 そして、明仁上皇は1990年11月に行われた「即位の礼」後の一般参賀で「お言葉」を述べたが、このとき、口にしたのは宗教色の弱い「即位礼正殿の儀」のことだけで、他の儀式については「関連する諸行事」としか語らなかった。

 ところが、今回、新天皇は「剣璽等承継の儀」を終えたことを堂々と国民に報告したのだ。そんなところから、今回も戦前回帰を目指す安倍政権が介入して、「お言葉」にあえて、国家神道の儀式を入れさせたのではないかといわれている。

 毎日新聞の伊藤智永編集委員が、4月に出した著書『「平成の天皇」論』(講談社現代新書)で、明仁天皇の「生前退位のおことば」をめぐって、安倍首相が事前検閲を指示、日本会議系として知られる衛藤晟一首相補佐官が“万世一系の神話的イメージ”を維持するために、天皇皇后の考えた文章を削除したことを暴露していたが、同じようなことが起きた可能性はおおいにあるだろう。

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。