ローラはインスタグラムのストーリーで〈We the people Okinawa で検索してみて。美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの。名前とアドレスを登録するだけでできちゃうから、ホワイトハウスにこの声を届けよう〉と書いたのが原因だったが、ローラがこうした批判に晒されるのは、これがはじめてではない。熊本地震で炊き出しボランティアをおこなったり、ユニセフのイベントに参加し1000万円の寄付をおこなったことをインスタグラムで報告した際などには、SNS上では〈偽善者〉〈売名行為〉というバッシングが起こった。
こういった動きはつまるところ「物を言う女はウザい」というミソジニー心性に他ならない。野党の女性議員が執拗に攻撃対象とされるのも、これと同じ構造を有している。
しかし、水原が素晴らしいのは、これだけ何度も理不尽な炎上に晒されても、決して口をつぐんだりせず、言うべきことを言い続けていることだ。
もちろん水原とてこんなバッシングにさらされて平気でいられるはずがない。2018年4月2日付朝日新聞朝刊に掲載されたインタビューで水原はこれまでの炎上騒動を振り返り「あの頃は、2週間くらい泣き続けていました。いろんな人に迷惑をかけていて、プレッシャーもあっておしつぶされそうになって」と語っている。
それでも水原は、こうしたヘイトとミソジニーの合体したグロテスクな攻撃に口をつぐむことはしない。上述した、中国向け動画でもプレモル騒動のときも、自分は「地球市民」であるとし反差別と相互理解のメッセージを発信してきた。
たとえば、プレモル騒動のときは、ツイッターでこんなメッセージを投稿した。
〈今この世の中では色んな争いが起きてますが、どこの国で生まれても、どこの国で育っても、どこの国に住んでいても、みんな地球人である事には変わりません。全ての人に自分を理解してもらうのは難しい事かもしれない。でも、この世の中で私の事を理解してくれている人がこんなにもたくさんいるという事に気づく事ができました。一日も早く、この世の中の人種や性別などへの偏見がなくなってほしい。そして、世界中の人がどこにいても自分らしく生きていける世の中になるように、まずは私が私らしくこれからも強い心を持って、生きていこうと想います。全ての争いがなくなる事を心から祈っています。LOVE&PEACE〉
今回の入国審査に関する主張も、こうした水原の信念から自然に発されたものだろう。
ごく真っ当な出入国審査に関する彼女の主張が、出自や性別といった議論とはなんの関係もない部分で炎上する。そんなグロテスクな社会が一日でも早く消えることを願ってやまない。
(編集部)
最終更新:2019.04.28 09:29