小川アナのケースもまさにそうだった。小川アナは東日本大震災の直後、古舘伊知郎キャスター時代の2011年4月から2018年9月まで『報ステ』でサブキャスターとして出演していたが、たんなる「添え物」でなく、社会問題への強い関心とジャーナリスティックな視点をもち、取材にも積極的に出かけ、つねに弱者の立場に立ち要所要所で的確なコメントを発し、時を経るごとに存在感を増していった
しかも、政権に不正や問題が起きると臆することなく厳しい発言もしていた。安倍首相が生出演した際も、メインキャスターの富川悠太アナやコメンテーターの後藤謙次が攻めあぐねるなか、厳しい質問を投げかけ、安倍首相を憮然とさせたこともある。
ところが、政権に忖度する早河洋会長率いるテレ朝は『報ステ』の骨抜きリニューアルを敢行。昨年7月には番組のチーフプロデューサーを“早河会長の子飼い”とも指摘されている桐永洋氏に交代し、それによって『報ステ』は従来の政権批判や権力監視の報道がかなりなりを潜め、当たり障りのないスポーツニュースなどをメインに扱うように。同年10月からは早河会長のお気に入りである徳永有美アナをキャスターに抜擢し、もの言うアナウンサーだった小川アナを同番組から追い出してしまった。
その上、小川アナの異動先は、ネトウヨ論客も多数出演する『AbemaPrime』という嫌がらせのような人事。小川アナが支持を集めたのはジャーナリスティックでリベラルなスタンスだったにもかかわらず、なぜかテレ朝は番組でコスプレをさせたり、露出多めの衣装でドラマに出演させたり、とセクハラまがいの扱いも繰り返していた。小川アナが『AbemaPrime』の番組進行役就任からわずか半年で番組の卒業と退社を決めたのも、無理からぬ話だった。