官僚からこんな答弁が出てくるというのは信じがたいが、しかし、これがいまのこの国の現実である。かつての官僚は、政権からどんな命令をされても法やルールを逸脱する行為はやらないというのを鉄則としていたが、安倍政権になって、その姿勢は一変している。森友・加計問題の不正や公文書改ざん、統計データ不正を見れば明らかなように、それこそ政権の意向なら、法律違反だろうが、犯罪行為だろうが、平気でやってのけるようになってしまった。
それどころか、ネトウヨまがいの言動を公然とおこなう官僚も次々と登場している。実際、小西議員に対しては、昨年4月にも統合幕僚監部に所属する幹部自衛官が「お前は国民の敵だ」「お前の国会での活動は気持ち悪い」などと暴言を放ったことがあったし、やはり昨年4月の衆院予算委員会の集中審議では、安倍首相のスピーチライターも務める経産省出身の佐伯耕三・首相秘書官が、加計問題を追及する玉木雄一郎議員に「違うよ!」などと野次を飛ばしたこともあった。
ただし、今回、深刻なのは、このセリフが内閣法制局長の口から発せられたということである。内閣法制局は、内閣法制局というのは、政府・内閣がつくる政策・法律が法全体のなかで整合性が取れているかを審査する立場。官僚のなかでももっとも中立性が求められる。その機関のトップが、率先して、法治国家、民主主義を否定し独裁を肯定するようなネトウヨまがいの主張を繰り広げたのだ。
昨晩放送の『NEWS23』(TBS)では、星浩キャスターが「これでは法の番人ではなく、政権の番人」と批判したが、その通りだろう。
しかし、これには、安倍首相がここまで強引におこなってきた内閣法制局支配という要因がある。