あまりにもわかりやすい首相秘書官の暗躍が次々と発覚していることを追及されているのに、十八番の民主党政権批判にすり替える──。みっともないにも程があるだろう。しかし、いくら話を誤魔化しても、この政権で官邸による官僚支配が進み、安倍首相に仕える首相秘書官たちが“お友だち優遇”や“アベノミクス偽装”に関与したことは、歴然とした事実だ。
そして、こうした権力の濫用を象徴するような出来事が、きょうも起こった。長妻議員は「ギリシャも統計の問題が発端で経済危機が起こった。統計の問題を甘くみないほうがいい。扱いによっては国家の危機になりかねない、そういう認識はあるか」と問うと、安倍首相は長々と答弁するなかで、こう発言したのだ。
「いま、長妻議員はですね、国家の危機かどうか(と訊いた)。私が国家ですよ。総理大臣が国家の危機という、重大な発言を求めているわけでありますから、まず説明をするのが当然のことではないでしょうか」
「国家の代表として」とかほかにも言い方があるだろうに、よりにもよって「私が国家」って……。「私は総理大臣ですから、森羅万象すべて担当しておりますので」だの「我々の法律の説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」だの、最高権力者として思い上がった安倍首相の発言は枚挙に暇がないが、こうした態度こそが力によって行政を歪め、「隠蔽、改ざん、偽装」を横行させたのではないか。
しかも、ここにきて、安倍首相の自民党総裁4選に向けた動きまでが出てきた。
2月10日に二階俊博幹事長がオフレコで安倍4選を希望するような発言をおこなった(日刊ゲンダイ2月12日付)ことを皮切りに、昨日には“ポスト安倍”として囁かれてきた加藤勝信総務会長も「国民から『さらに』という声がでてくればそういう状況は生まれるかも」と講演で発言。その上、昨晩おこなわれた二階幹事長と麻生太郎副総理の会談では、先日、安倍首相との同期会で林幹雄幹事長代理が「4選もある」と言ったという話に、麻生副総理は「おもしろいね」と言ったという(毎日新聞Web版2月28日付)。
こうした動きに、当の安倍首相はきょうの国会で4選を否定せず、「自民党のことは自民党においてしっかり議論していくことなんだろうと思う」と述べたのである。
現在、安倍首相の総裁任期は2021年までだが、またも党則を変えて2024年まで総理の座に居座るつもりなのか──。「私が国家」と付け上がる「隠蔽、改ざん、偽装」総理の暴走を思えば、まさに背筋が凍る恐怖のシナリオだろう。
(編集部)
最終更新:2019.03.01 12:42