ようするに、これは「慰安婦像のモデルは別の事故被害者の少女」という虚説をばらまくことで、少女像が持つ意味を打ち消そうという卑劣なデマゴギーだったわけだ。にもかかわらず、黒鉄氏は本サイトなどがとっくのとうに指摘しているこんなネトウヨデマを、恥知らずにもテレビで披露し「常識ではない」などと批判しているのだ。
常識がないのはこの漫画家のほうだが、さらに黒鉄氏はこんなヘイトをまくし立てていた。
「物語を優先する国なんで、自分たちに都合が悪いと歴史をも改ざんしてしまう。だから、冷静につきあえないんで、喧嘩しなくてもいいけども、ほどほど無視のね、『また病気がでられましたか?』みたいなことで諌めるしかないんじゃないか」
「朝鮮民族の日本に対する考えかたって(核ミサイルを)撃つって可能性あるんですよ」
「彼らは優先順位が違いますよね。僕らはやっぱり常識で、西洋的価値観なんですよ。日本はもともとそうなんですよ。常識の国。義の国ですから。(韓国は)嘘でも言っていれば通る」
あきらかに韓国人を一括りにして、「病気」「日本に核を撃つ民族」「嘘でも言っていれば通る」などとレッテルを貼り、国籍・民族差別を扇動するヘイトスピーチだ。
そもそも黒鉄氏といえば、産経新聞社の月刊誌「正論」などにも寄稿している保守論客で、安倍応援団の一人だ。たとえば2012年に安倍氏が自民党総裁に返り咲いたときも、〈安倍氏の首相就任時の「美しい国日本」という演説は全体を俯瞰していた。突然辞任したと批判されるが、病気が理由で、政策に瑕疵はなかった〉(神戸新聞2012年9月27日など)と擁護してきた。