防衛省・自衛隊ホームページより
安倍政権が2023年度の導入を推し進めている、地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」。先月29日には、米国務省がイージス・アショア2基の日本への売却を承認。関連費用を含めた価格は約2350億円と発表された。トランプ米大統領は昨年9月26日、安倍首相との会談後の記者会見でこう述べている。
「私が『日本は我々の思いを受け入れなければならない。巨額の貿易赤字は嫌だ』と言うと、日本はすごい量の防衛装備品を買うことになった」(朝日新聞より)
本サイトでも以前からお伝えしてきたように、安倍首相からトランプ大統領への“貢物”の最たるものがこのイージス・アショアの購入であるわけだが、当初は1基あたり800億円とされていた。目を疑うような価格高騰だ。
しかも、発表された「2350億円」は発射装置や施設整備の費用を除いた金額なのだから、騙されてはいけない。現に、防衛省は昨年7月末、イージス・アショア2基の配備費用が総額約4664億円となる見通しと発表している。だが、これもまた「つくりました、はい終わり」では済まない。イージス・アショアが搭載する新型迎撃ミサイル「SM-3ブロック2A」(1発あたり40億円前後)や建屋などの施設整備費が重なり、〈基地建設費なども含めれば8000億円近くに達する見込み〉(「週刊朝日」18年11月9日号/朝日新聞出版)とも言われている。
さらに、前陸上自衛隊武器学校長の市川文一氏は、〈アショアの維持管理費が将来、想定以上に膨らむ可能性が高い〉(「週刊新潮」18年11月8日付/新潮社)と指摘している。市川氏によれば、ソフトウェアの更新等の維持管理費は導入時には最低限の費用で見積もられるが、そこには〈故障した場合の修理費、システム全体が新しくなった場合のバージョンアップ費用は、事前に見積もることができないので含まれない〉という。
ようするに、米国にふっかけられたイージス・アショアには無茶苦茶なカネがかかり、その運用にもじゃぶじゃぶと血税が投入され続けるのが目に見えているのだ。
しかも、問題は費用だけではない。元海上自衛官で軍事評論家の文谷数重氏が、本サイトの取材に対してこう解説する。
「安倍首相は、イージス・アショア配置の“必要性”として北朝鮮の弾道ミサイルの存在をあげてきました。ですが、周知のように南北、米朝関係は和平ムードに好転。弾道弾発射が途切れ、国際圧力は緩和し、経済改善の目が出はじめたなか、その“必要性”は薄れています。そもそも日本はイージス艦を7隻持っており、これはアショアとほぼ同性能です。アショア配備が多少遅れても、ミサイル防空に穴はあきませんから、住民の反発を無視して急がねばならない理由もなくなりました。少なくとも、計画の不適切な部分は見直すべきでしょう」