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レーダー照射問題の強硬姿勢の裏で、海上自衛隊が「イジメ自殺」を過労死として隠蔽しようとしていた!

 なかでももっとも有名なのが2004年に起こった海自「たちかぜ」事件だろう。護衛艦「たちかぜ」の乗員(当時24歳)が電車に飛び込み自殺した。遺書には上司を名指しで「許さねえ」と記されており、海上自衛隊横須賀地方総監部が内部調査を行ったところ、「虐待」が判明する。虐待を行っていたのが艦歴2年の古参、2等海曹だった。2曹は玩具のガス銃や電気銃で後輩を打ったり、殴る蹴る、恐喝するなどの犯罪行為を繰り返していたという。

 また2014年9月1日には同じく海自の横須賀護衛艦乗務員が、上司の1等海曹からペンライトで頭を殴られたり、館内の出入り口の扉で手を挟まれたり、バケツを持って立たせられたりするなどのイジメやパワハラを受け、自殺を遂げた。しかも自殺の2日前、隊員は上司のイジメを理由に配置転換を求め、面談を行うなどの訴えも起こしていた。自衛隊もイジメを把握していたが、それを防ぐことができなかったのだ。

 これらの自殺は一応、イジメが原因であることが明らかになったが、表沙汰になっていないものも山ほどある。自衛隊の内部に詳しいジャーナリスト三宅勝久氏による『自衛隊員が泣いている』(花伝社)には多くの自衛隊員の自殺事例とそれを招いた自衛隊の“暗部”、そして隠蔽工作が詳細に描かれている。

 たとえば、2012年の航空自衛隊入間基地で若い隊員が4階建ての隊舎からの転落死した事件だ。

〈調べていくと不審な事実が浮かんできた。「自殺」と判断したのは狭山警察だが、同署が現場にいったのは発見から4時間後。自衛隊から警察に連絡はなく、病院からの通報で警察は事件を知った。警察がくるまでは警務隊が捜査していたとされるが、じつは警務隊到着前にすでに現場が片付けられていたらしい〉(『自衛隊員が泣いている』より)

 転落という不審死にもかかわらず、現場保存がされていなかったのだ。それも身内の自衛隊の手で──。

 まだある。同書には07年5月14日、北海道名寄市の陸上自衛隊で25歳の隊員・植田大助さんが首つり自殺した事件も紹介されている。この自殺も20万円がはいった金庫を盗んだという濡れ衣を上司に着せられたことに対する“抗議の自殺”だった可能性が高いという。植田さんは部隊の金庫当番を命じられていた。「盗難事件」はそれからわずか20日後のことだ。遺書には「金庫を盗んでいない」「もう限界です」「犯人を見つけて下さい」と記されていた。生前の植田さんの話や、上司である中隊長の言動に不審を抱いた家族はこう推測している。

「何ものかによって罠にはめられたのではないか」
「一連の不自然な行動や言動をみていると中隊長が犯人なんじゃないかとすら思えてくるんです」

 何らかの理由から植田さんが中隊長に目をつけられ、そのため濡れ衣を着せられた──遺族はそう考えたのだ。

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