TBS『NEWS23』番組サイトより
12月14日、安倍政権が強行した辺野古の海への土砂投入。本サイトでもお伝えしたとおり、沖縄県民が選挙で示し続けきた民意を踏みにじり、法的手続きさえもないがしろにした暴挙であり、反対の声をあげ続ける沖縄県民に対する嫌がらせ・いじめ以外のなにものでもない。
そんななか、土砂投入を報じた14日放送『NEWS23』(TBS)での駒田健吾アナの発言が話題になっている。駒田アナといえば『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)などバラエティのイメージが強いが、2016年からは『NEWS23』に出演。昨年9月、総選挙を前に安倍首相が出演した際には、モリカケ問題について勝手な言い分を喋りまくる安倍首相に食い下がるなど、あまり話題にならないがジャーナリストとして気骨ある面を垣間見せてきた。
この日の『NEWS23』は、辺野古への土砂投入や市民の様子を報道。VTRのあと、現地取材をした駒田アナがこう切り出した。
「きょう辺野古に実際に住む人たちに、たくさん話をうかがってきたんですが、まあ、ほぼ反対派一色でしたね」
しかし駒田アナはあえて、きわめて少数の“条件付き容認派”の話を紹介したいと言い、現地の商工会長の話を語った。
「その方はですね、条件付き容認であると、『一知事が変えられなかったものを、ひとつの地区が変えられるかどうか』というふうに疑問を呈していて、『相手は日本政府であり、そしてその先にはアメリカ政府がある』と、『だから私は条件付き容認だ』と言っているんですが、子や孫の話になると涙を浮かべてらっしゃるんですね。あの思い、涙の意味……」
駒田アナは声を詰まらせた、こう続けた。
「きょうはずっと回ってきたんですけど、なぜあの思い、涙を流さなければいけないのか、誰が流させているんだろうか」
そして、声を震わせ目に涙を浮かべながら、本土の人に向けて訴えたのだ。
「本土の人は無関心だし、みなさん辺野古が唯一の選択肢だということにもう頭から信じ込んでいるんですよね。これは、本土の人もですね、ここはひとつ考え方を変えてですね、ぜひ沖縄の方になんとか寄り添っていただきたいときょうは思いました」
この駒田アナの訴えには共感や賛同の声がある一方、ネットではこんな非難が浴びせられている。
〈キャスターが私情挟むなよ〉
〈笑ったわー ニュースで演出、というか過剰演技すんな〉
〈駒田アナが涙の訴え、感動した!って言ってんの何なの? 普通に気持ち悪いわ 苦しくなると感情に訴えかけるのありえないから〉
〈なんだかなぁ、駒田アナの独白聞いたけども本土本土うるせーよ、ばっかじゃないの。アナの分際で持論展開してんじゃねーよ〉
〈見てたけどキモかった 感化されやすいというか洗脳されやすいタイプなんだろうな〉
いったいこいつらはわけ知り顔で何をいっているのか。断言するが、駒田アナの姿勢は取材者、ジャーナリストとして賞賛されこそすれ、非難される部分はまったくない。
たしかに、多くの「本土」メディアの基地問題の報道ぶりを考えれば、沖縄県民の声に寄り添い、「辺野古が唯一の選択肢」という考え方も見直せとまで踏み込んだ駒田アナの発言は、異例と言ってもいいものだろう。しかし、おかしいのは駒田アナではなく、多くの本土メディアのほうだ。
米軍基地問題は沖縄県だけの問題ではなく国全体の問題にもかかわらず、「沖縄県が反発」「政府と沖縄県の対立深まる」などと他人事のように報じ、基地問題を沖縄だけに押し付け続ける。政権の意向を忖度し、“辺野古ありき”の固定観念のもと、沖縄県民の声を矮小化する。こういう本土メディアの姿勢のほうが、民主主義国家のメディアとしてあるまじき態度なのだ。