というのも、桜田五輪相も片山地方創生相も、二階俊博幹事長の二階派に所属する議員。その二階氏は、幹事長に就任するや否や「連続2期6年」という総裁任期の延長論をぶち上げ、「安倍総裁は中曽根首相と同等か、それ以上の活躍」と褒めあげ、結果、党則は「3期9年」に改定。総裁選でも安倍首相への「絶対の支持」を表明したように、安倍首相にとって二階幹事長は総裁連続3選の“功労者”だ。
「今回、桜田議員や片山議員が初入閣を果たせたのは、派閥の長たる二階幹事長の論功行賞でしかなく、安倍首相にとっては大臣に引き立てた時点で義理は果たしている。そもそも最初から何かボロが出ることも想定していたはずです。だから積極的に守るつもりもなく、片山氏や桜田氏の報道にかんしても官邸は黙認しているのでしょう」(大手紙政治部記者)
つまり、暗に官邸からの「GOサイン」が出ているために、ワイドショーも心置きなく桜田五輪相や片山地方創生相のネタを取り上げている、というわけなのだ。
官邸のお墨付きをもらった相手でなければ叩かない──。まったくワイドショーの腰抜けっぷりには反吐が出るが、さらに大きな問題がある。桜田五輪相の無能さをコメンテーターたちが批判する一方で安倍首相の「質問通告」問題を取り上げないとの同様に、国を左右する重要な事実が報じられず、批判にも晒されていないのだ。
10日の朝日新聞朝刊に、衝撃的な内容の記事が掲載された。それは、麻生太郎副総理兼財務相が昨年8月におこなわれた会合で「(政治家は)結果が大事。何百万人も殺しちゃったヒトラーは、いくら動機が正しくてもダメ」と発言したことが原因で、今月12日から来日する米・ペンス副大統領との「日米経済対話」が見送られたというのだ。