小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

安倍首相の日中「3原則」食い違いは安倍の暴走と官邸の内紛!“影の総理”今井首相秘書官と谷内NSC局長が大ゲンカ

 実際、外務省と経産省を巡っては、少し前も官邸内での衝突が表沙汰になったことがあった。昨年5月、自民党の二階俊博幹事長が訪中した際、習国家主席に手渡した親書を、事前に官邸の今井尚哉・首相主席秘書官が中身の書き換換えを指示したとされる一件のことだ。安倍政権では、首相の重要な親書は、谷内正太郎国家安全保障局長が最終チェックすることになっていたのだが、それを今井氏の鶴の一声で、谷内氏を飛び越えてしまったことから、官邸や霞が関の事情を知る関係者は騒然としていた。

 周知のとおり、今井秘書官といえば、安倍政権においてアベノミクスや原発政策ほか主要政策を仕切るなど“影の総理”の異名を持つ。もともと経産省出身で、第二次安倍政権が“経産政権”と呼ばれる由縁のひとつとされる人物だ。一方の谷内局長といえば外務省出身で、日本版NSCを仕切るなど、安倍首相の外交・安保政策を支える親米タカ派の代表格だ。

 昨年の今井秘書官による“親書書き換え”の際には、谷内局長が今井氏に「なぜ書き換えた」と詰め寄り、「こんなことじゃ、やってられない」と局長辞任まで申し出て安倍首相が必死になだめたといわれており、この官邸内の実両者どうしの溝は深いのだが、このときの背景も、やはり、経産省と外務省の中国をめぐる対立があった。

 実は、この騒動は、今回の訪中で中国側と覚書をした民間のインフラ投資にも関わるものだ。インフラ投資は事実上、習近平体制が目玉としている巨大経済圏構想「一帯一路」とAIIB(アジアインフラ投資銀行)にも関係する。もともと中国との経済協力に関してはAIIBへの日本加盟の是非が議論されていたが、周知の通り、米国の顔色を見る日本政府は一貫して参加を拒否。ところが、日に日に影響力を増すAIIBに対して、日本の参加をめぐって官邸内でも意見が割れた。その積極派が今井秘書官で、慎重派が谷内局長だ。

 この今井・経産省vs谷内・外務省の対立が、前述の“今井親書書き換え騒動”の背景であったともささやかれているわけだが、そうした経緯を考えてみると、今回の「3原則」をめぐっても、経産省と外務省の中国に対する姿勢の違いが影響を及ぼしているのではないかと思えてくるのだ。

 いずれにしても、「3原則」に関しては、外務省の否定だけではなく、中国側の沈黙も気がかりだ。だが、少なくとも、ここにきて急激に「親中」へ舵を切る安倍官邸の内部の亀裂は、対中外交をめぐる政権の目論見が一筋縄ではいかないことを示している。単細胞の嫌中感情で安倍首相を責め立てるネトウヨたちとは違う文脈で、今回の安倍首相訪中の評価はしばらく保留にしておいたほうがよさそうだ。

最終更新:2018.10.31 12:48

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。