そもそも、森友の公文書改ざんは佐川宣寿・元理財局長の一存で実行できるようなものではない上、佐川氏の答弁が強気なものに変わったのは安倍首相の「私や妻がかかわっていたら総理も国会議員も辞める」という昨年2月17日の答弁以後のこと。公文書の改ざんが官邸の指示、なかでも今井首相秘書官からの指示によって引き起こされた疑いは極めて濃厚だ。
いや、それ以前に、加計問題では「総理のご意向」文書を菅義偉官房長官は「出所不明の怪文書」と宣い、再調査で文科省から文書が出てきても政府は「個人メモ」と言い張った。公文書改ざんが発覚した森友問題でも、麻生太郎財務相は第三者委員会による調査を拒否。こんな体たらくで安倍首相は「政府をあげた抜本的な見直し」などと胸を張る呼ぶのだから、信用しろと言うほうがおかしい。
しかも、総裁選では、「正直、公正」をキャッチコピーにした石破茂・元幹事長に党内から「安倍首相への個人攻撃だ」という批判が起こったとされるが、対して安倍首相が掲げたキャッチコピーは「責任、実行」。だが、いまなお森友・加計問題は国民から疑惑の目を向けられているにもかかわらず、総選挙に際して打ち出した「5つの決意」では公文書管理の徹底には一言もふれずじまいだ。
さらに、石破氏は森友・加計問題を受けて「いつ、どこで、誰が、誰に会ったかという記録は明確でなければならない」「(面会記録の)保管は義務化」というごく当然の見直し策を出しているが、そうした石破氏の政策に安倍首相は「森友・加計学園問題を蒸し返そうとしていることに腸が煮えくり返っている」(「週刊ポスト」9月7日号/小学館)という。蒸し返すも何も疑惑はひとつも解明されていないのに、安倍首相はもう終わった話だというのである。
反省する態度さえ皆無の人物が公文書管理を徹底できるとは到底考えられない。むしろ、自分の関与や官邸の暗躍を表沙汰にしないよう、ガイドライン改正を逆に公文書管理を骨抜きにする機会にしようと目論んでも、何ら不思議はないのだ。
ある意味、今回の“議事録不要”問題は、安倍首相の総裁選キャッチコピーが「責任(を逃れ)、(民主主義の破壊を)実行」する宣言であることを裏付けたと言える。ともかく、経産省の方針への官邸の指示をはじめ、問題の実態解明が求められるだろう。
(編集部)
最終更新:2018.08.30 10:49